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後立山連峰北部(雪倉岳・白馬岳)(山頂)

北アルプスの中でも人気の高い白馬岳は花の山と呼ばれます。お花畑は中腹から合計四つあり、季節に応じた花を咲かせています。白馬三山と呼ばれることもある杓子岳、白馬鑓ヶ岳が南に連なっています。雪倉岳は白馬岳の北に大きな根張りの山です。白馬三山は長野県と富山県の境に聳え、雪倉岳は新潟県と富山県の境に聳えています。運が良ければ雷鳥の親子に出会えるかもしれません。

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標高2932mの白馬岳(しろうまだけ)は元は残雪の跡の代馬岳が変化したと言われています。しかし現在は山頂のみが「しろうま」と呼ばれるだけで、村名は白馬村(はくばむら)、大雪渓も白馬雪渓(はくばせっけい)と「はくば」と呼ばれることが殆どとなりました。山名も「はくばだけ」と呼ぶ登山者が多くいます。いずれは「しろうま」の呼称は無くなるでしょう。

登山道は幾筋かあります。どのコースも多くの登山者で賑わっています。
県道白馬岳線の行き止まりの猿倉まで夏期と秋の週末・祝日に路線バスが通っています。広い駐車場もあるので車での乗り入れも楽です。猿倉からしばらくは未舗装の林道を歩き、行止が登山口となります。猿倉から白馬尻小屋までは1時間強ほどです。白馬尻から白馬岳の山頂までは4時間半から5時間くらいでしょう。途中には有名な白馬大雪渓があります。九月に入っても融けない大きな雪渓で、アイゼン無しでは大変に危険です。晴天が続いているときは登山者の踏み跡が柔らかくなりアイゼンなしでも登れますが、雨の日や雨天後には柔らかな雪が融けて無くなり氷の路面となります。また、時間による入山規制もされています。大雪渓への入山は午前中にしたいものです。大雪渓は八月上旬には標高2098m付近で終わります。
大雪渓が終えると小さな避難小屋があります。文字通りの避難小屋で宿泊できる様には作られていません。雨の日などに利用します。この小屋付近にお花畑があります(標高2258m付近)。八月上旬にはミヤマクワガタ、ミヤマガラシ、ハクサンフウロウ、クルマユリの花が見られます。
岩場を登って行くと標高2611m付近に二つ目のお花畑があります。八月上旬にはシロウマオウギ、オタカラコウ、ハクサンフウロウの花が見られます。
標高2705m付近で白馬岳の縦走路に出合います。ここにはタカネシオガマの花を見ることが出来ます。
白馬岳の山頂の北西斜面にはコマクサの群生があります。
白馬岳の山頂は東側の斜面がざっくりと削げ落ち、西側はややなだらかな斜面をしています。これは日本海からの偏西風が、冬、雪を伴って吹き付ける事から起こる現象のようです。山頂から下山するには北と南にルートがあります。北を目指せば小蓮華岳、白馬乗鞍岳を経て栂池ゴンドラと栂池ロープウェイに乗って栂池高原へと降ります。南を目指せば杓子岳、白馬鑓ヶ岳を経て鑓温泉へと下り、猿倉へと戻ってきます。登って来た大雪渓の道を引き返すことも出来ます。季節や天候、体力と相談をしてルートを決めて下さい。

栂池公園に至る登山道は栂池ヒュッテまでロープウェーとゴンドラを使って距離と高度を稼ぎます。ロープウェイはザックの重量を計測して、超過している場合には別料金が必要となります。栂池ヒュッテから登り道は緩やかな下りで岩がゴロゴロしています。標高2297mで天狗平に少し下ります。標高2469mの白馬乗鞍岳に登り返します。白馬乗鞍岳山頂からは白馬大池が一望でき、ハイマツに覆われたなだらかな頂です。八月上旬なら池から白馬乗鞍岳にはハクサンイチゲやチングルマ、イワウメが花を咲かせています。標高2769mの小蓮華山の山頂から北東側はひろやかな稜線で、霧が深いときや豪雨の時には道を見失うかもしれません。森林限界を越えるまで石の道を歩きます。素直な路面の道です。やがて三国境の分岐に抜けます。ここから先は白馬岳までヤセ尾根を歩きます。登山道の西の斜面には沢山のコマクサが咲き乱れています。山頂は東側が崖となっていて、西側はやや勾配が緩やかとなっています。ハイマツが山頂付近まで生えています。白馬岳の山頂からの下山口は三つあります。一つは今来た道をひいき返すルート、もう一つは大雪渓を下るルート、最後は杓子岳、白馬鑓ヶ岳を越えて鑓温泉を下るルートです。

鑓温泉を上るルートの紹介です。登山口は猿倉にあります。猿倉から林道を登って行く途中に左に折れます。日向のコルまではブナとダケカンバの樹林帯の中を歩く道で、これといった特徴はありません。勾配は緩やかです。日向のコルを過ぎると道が細くなります。鑓温泉まではいくつかの雪渓を横切ります。季節によって通るルートが異なります。2030m付近に鑓温泉があり、無料の足湯が設けられています。鑓温泉を過ぎるとちらほらと高山植物の花が見られ、八月上旬ではタテヤマウツボグサ、キヌガサソウが花を咲かせています。標高2226m付近にクサリ場があり、それほど危険な箇所ではありません。標高2649m付近にある大出原の雪渓の廻りにはチングルマとハクサンコザクラの花でした。
標高2756m付近で天狗平から白馬岳にいたる縦走路と出合います。ここから道を北にとって白馬鑓ヶ岳(標高2903m)、杓子岳(標高2812m)を越えて白馬岳山頂へと至ります。コルから白馬鑓ヶ岳から杓子岳は花の多い道で。アケボノソウ、ミヤマアズマギク、チシマギキョウの花が見られます。白馬鑓ヶ岳から杓子沢のコルに下ってから登り返し杓子岳に至ります。杓子岳の斜面にコマクサの群生がありまが登山道から見るにはちょっと距離が離れています。鑓温泉と天狗平のコルの分岐から白馬鑓ヶ岳までの所要時間は約1時間ほど、白馬鑓ヶ岳から杓子岳までの所要時間は1時間30分ほどです。杓子岳から白馬岳の山頂までは1時間30分から2時間ほどです。
白馬岳の頂からの展望は背景は杓子岳と鑓ヶ岳。雲にかすんで唐松岳、五龍岳、立山連峰が見えます。下り道は白馬大雪渓から猿倉へ下るルートと小蓮華岳、白馬乗鞍岳、白馬大池を過ぎて栂池のロープウェーへと下るルート、登ってきた道を引き返すルートがあります。

標高2611mの雪倉岳は単独では登られない山です。白馬岳山頂から約3時間かかります。朝日岳の下にある朝日小屋からは約5時間かかる山です。白馬岳からの登山道を利用するには三国境の分岐を北に折れて進みます。このあたりは複雑な地形となっています。根張りのどっしりとした立派な雪倉岳の山容を正面に見ながら進みます。雪倉避難小屋は雪倉岳のコルにあって大きな建物です。10名から20名くらいの人が泊まれる規模です。避難小屋から山頂までは一途の登り坂です。七月下旬から八月上旬に登るとチングルマの花が楽しめます。九月下旬にはミヤママツムシソウの紫色の花が楽しめます。
朝日小屋(標高2148m程)からの登山道は朝日岳の西側を通り、木道で作られた道を湿原とお花畑の中を通ります。赤男山の西側の湿地はもう少し規模の大きなもので、チングルマなどの花が7月下旬から八月上旬にかけて見られます。木道が設置されていて足元を濡らす心配はありません。赤男山は頂を西側に大きく巻いています。コルの湿原を越えると雪倉岳まで一途の登り道となります雪倉岳の山頂は遮るものが何も無いので眺望良好です。近くの山は鉢ヶ岳、旭岳、白馬岳が南に一望できます。下り道は登って来た朝日小屋へ引き返すルート、三国境の分岐を栂池高原へ下るルート、足を伸ばして白馬岳へ上るルートがあります。

白馬岳から南に縦走路が設けられています。まず杓子岳との間のコルを下り、杓子岳、白馬鑓ヶ岳へと登ります。白馬鑓ヶ岳を越えて天狗山荘へと至ります。天狗山荘の先の天狗の頭(表呼応2819m付近)から天狗の大下りが始まります。急峻な坂道を下り、やがて岩のヤセ尾根に変わります。岩の急斜面でところどころに垂直に近い岩場がありますが、そうした箇所にはクサリ場が設けられています。クサリ場を除けば足だけで下れる道です。不帰キレットまでは大した危険の無い道です。
不帰キレット(標高2444m付近)を過ぎると岩場の登りとなり、岩峰を上り下りしながら進みます。痩せた尾根道なので眺望は良く、西には立山と剣岳が常に見えます。山だけで無く眼下の谷筋も良く見えます。
不帰1峰(標高2504m付近)からから難路が始まります。2峰は厳しい登りです。岸壁を登り切るとわずかな区間ですが、樹林の中を歩きます。岩場と岩場の間に樹林があるのも奇妙なものです。クサリ場は二峰北峰までで、不帰キレットの岩場の難所はここまでです。唐松岳が大きく眼前に広がって見えます。一度コルに下り唐松岳に登ります。唐松岳(標高2696m)からの眺望良く、縦走路の先の五竜岳が見られます。五竜岳から八方尾根へ下ると八方池までが登山道で、ここから先は観光客の道となります。八方山荘のリフトは標高1822m付近にあります。

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白馬杓子岳

白馬三山の真ん中にあるピーク。西側の岩礫の斜面にはコマクサが多く見られる。

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白馬鑓ヶ岳

白馬三山の南の一座。

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白馬鑓温泉

日本で最も高所にある温泉の一つです(最高所ではありません)。白馬鑓ヶ岳から急斜面と岩場を下った所にあります。このルートは急坂道のために、主に下りに利用されます。有料で日帰り入力が出来るほか、無料の足湯も用意されています。

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Yuichi Mizunuma H.N.う

Yuichi Mizunuma (H.N.zen)
当サイトの執筆・撮影とシステムの製作等全てを行っています。
2007-2013にかけて、北海道利尻礼文から九州屋久島まで日本の主要な登山道を歩いてきました。日本百名山は2013年9月に全山登頂を達成。

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2013年まで、春夏秋冬、北海道から九州沖縄まで、ツーリング・登山・サイクリング・パドリング(カヤック)をしています。年間のテント泊数は40泊から60泊程度、日帰りを含めると年間80日くらいはアウトドアにいました。

現在は八王子市に居住中、今後は八王子市から離れることはありません。

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