那須岳登山

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三斗小屋温泉(標高1470 m)

三斗小屋温泉

車道はなく最寄の駐車場から徒歩で最短でも2時間を要する秘湯中の秘湯。北アルプスでよく見かける大規模な山小屋風の建物が数棟建っているが、大黒屋と煙草屋というれっきとした旅館です。茶臼岳から三本槍ヶ岳に至る縦走路の丁度中ほどの熊見曽根から西に下る道が直接三斗小屋温泉に通じているほか、沼原湿原から登ってくる道と大峠から下ってくる道が三斗小屋温泉で合流するので山中の十字路となっています。

三斗小屋温泉の歴史
地元の案内板には、三斗小屋温泉の開闢は1142年(康治元年)と書かれていますが、江戸時代には相当の利用者があったようです。
1683年(天和3年)の日光地震で鬼怒川沿いを通る会津西街道が通行不能となったときに、板室温泉から大峠を超えて会津に至る会津中街道が開設されましたが、街道の新設に伴い三斗小屋宿も設けられているので、三斗小屋温泉の隆盛もそれ以降と思われます。

江戸時代後期には湯治客に加えて白湯山信仰の参拝客も三斗小屋温泉を利用する様になったので、三斗小屋宿と共に大いに栄えたようです。白湯山信仰は、白湯山、茶臼岳(当時の呼称は月山)、朝日岳を経巡る山岳信仰でした。白湯山の位置は不明ですが、白濁の湯の湧いている山と伝えられているので、三斗小屋温泉の源泉が湧いている隠居倉のピークのやや西下辺りを指していたものと思われます。
現在の登山道に照らし合わせると、三斗小屋温泉を出発して隠居倉に登り、朝日岳、茶臼岳と岩稜を歩いた後、牛ヶ首か峰の茶屋から西に下って三斗小屋温泉に戻る、と言うルートをたどったのかもしれません。

明治初期には柏屋・大黒屋・三春屋・佐野屋・生島楼の5軒を数えた温泉宿も、現在は大黒屋と煙草屋の2軒に減っていますが、収容人数は相当に大きいので、シーズンには相当の利用者がある様です。
ちなみに、上記の大黒屋は現在も続いている老舗ですが、煙草屋は黒磯から進出してきた宿です。

現在の三斗小屋温泉
テント場の無い那須岳山域ですが、三斗小屋温泉の前のスペースがテント場として使われています。ソロ用で10張りがやっと張れそうな狭い空き地ですが、週末の夕方に宿の前を通ると、2張り3張りのテントを見かけます。

現在は、日帰りの入浴は行っていません。

荷物の運び込みをどの様に行っているのか、温泉宿の前を通る旅に不思議でした。相当の宿泊数が泊まれる宿が二軒もあるので、飲食物だけでも大変な量を定期的に運ばなければなりませんが、宿の廻りは丈の高い森林に覆われているのでヘリコプターによる搬送は出来ません。といって、強力を雇って人力で運び込むのには無理があります。
沼原湿原から三斗小屋宿跡を経由して三斗小屋温泉に歩いていたとき、登山道にほんの僅かですがキャタピラーの通った跡が見られました。温泉宿の周囲を注意して見ていると、手押し式の小さなキャタピラー型搬送機を見つけました。三斗小屋宿跡までは車道がついているので車で運び、宿跡から温泉宿までは小型搬送機で運んでいるようです。

那須岳山域は那須町に含まれていますが、三斗小屋温泉だけは那須塩原市(旧黒磯市)となっています。特に説明も無く地図に書かれていただけなので意味不明でしたが、明治大正昭和と市町村の合併が何度も繰り返されてきた中で、黒磯市と何らかのつながりのあった人々が那須町では無く黒磯市との合併を望んだためだろうと推察しています。


地図で見る三斗小屋温泉


三斗小屋温泉-三斗小屋宿跡
三斗小屋温泉-三斗小屋宿跡

沼原湿原から麦飯坂を通って三斗小屋宿跡に至り、宿跡から三斗小屋温泉に通うルートです。三斗小屋宿跡までは車道が通っていて特に通行制限も内容なので、殆どの登山者はここまで車で乗り入れるようです。会津中街道の難所と言われた麦飯坂はひっそりとしていましたが、ちゃんと整備されていて歩きやすい道でした。...もっと読む »

累積標高864 m(登り 514 m 下り350 m)
距離:7.54 km

三斗小屋温泉-大峠
三斗小屋温泉-大峠

利用者は少ないですが、三斗小屋温泉に前泊をしてから大峠、三本槍ヶ岳、茶臼岳と縦走する登山者も多い様です。
大峠(1450m)から三斗小屋温泉(1470m)までは、峠沢、中沢、赤沢の三つの沢を徒渉します。橋は無いので雨天で増水中の時には渡れないこともあります。また、沢筋は標高が低く最低部は1300mですから、150m下って170m登り返す事になります。実際に歩くと、沢と沢の間の尾根の登り下りもあるので、地図で見る異常に体力を使うルートです。...もっと読む »

累積標高581 m(登り 280 m 下り301 m)
距離:2.91 km

三斗小屋温泉-峠の茶屋
三斗小屋温泉-峠の茶屋

温泉宿の泊まり客が最も多く利用するのが、峠の茶屋県営駐車場から峰の茶屋峠を越えて三斗小屋温泉に至るルートです。登り下りは峰の茶屋だけなので標高差は約300mほど。高尾山に登る3/4ほどです。道も良く整備されているので登山靴で無くとも歩きやすく滑らない靴底のシューズなら歩くのに不自由は無いでしょう。途中に延命水という湧水を飲めます。...もっと読む »

累積標高876 m(登り 454 m 下り422 m)
距離:4.52 km

三斗小屋温泉-沼原湿原
三斗小屋温泉-沼原湿原

沼原湿原から姥ヶ平下、御沢を経由して三斗小屋温泉に至るルートです。途中に日の出平に出る道や牛ヶ首に出る道との分岐があります。
沼原湿原の標高が1275m、三斗小屋温泉の標高が1470mなので、御沢の登り下りを加えても300mほどの累積標高しか無いので歩いて楽な道ですが、利用者は少ないようです。三斗小屋温泉に最短距離で登ろうとすれば三斗小屋宿跡まで車で移動をして歩いた方が近いからでしょう。...もっと読む »

累積標高728 m(登り 448 m 下り280 m)
距離:5.90 km

三斗小屋温泉-熊見曽根
三斗小屋温泉-熊見曽根

三斗小屋温泉と熊見曽根の間に隠居倉のピークがあります。温泉と隠居倉の中ほどに温泉源がある様で、盛んに白い湯気を吹き上げています。登山道脇に湯を引く配管も通っています。三斗小屋温泉から隠居倉(1819m)まではなかなかの坂道ですが標高差が400mに満たないので、それほどのことはありません。
隠居倉は茶臼岳から三本槍ヶ岳に連なる主稜線から西に張りだしている上にピークに樹木が無く視界が遮られないので、他のピークでは得られないユニークな景観が楽しめます。茶臼岳や三本槍ヶ岳、三倉山の山稜など、他とは違った形が見られます。...もっと読む »

累積標高525 m(登り 479 m 下り46 m)
距離:2.14 km

三斗小屋温泉-牛ヶ首
三斗小屋温泉-牛ヶ首

三斗小屋温泉から姥ヶ平を経て牛ヶ首に抜けるルートです。牛ヶ首は十字路となっていてロープウェー山頂駅、南月山・白笹山方面、峰の茶屋と通じているので、三斗小屋温泉-牛ヶ首ルートを元に様々な登山ルートを組み合わせることが出来ます。
晩春から初秋にかけての登山シーズンに歩く人は少ないですが、姥ヶ平の紅葉が見事なので秋の盛りには多くに登山者で賑わいます。...もっと読む »

累積標高545 m(登り 410 m 下り135 m)
距離:4.01 km

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Yuichi Mizunuma H.N.うーたん

Yuichi Mizunuma (H.N.うーたん or zen)
当サイトの執筆・撮影とシステムの製作等全てを行っています。林道への案内板自然派空間のWebMasterもしています。
2007-2013にかけて、北海道利尻礼文から九州屋久島まで日本の主要な登山道を歩いてきました。日本百名山は2013年9月に全山登頂を達成。

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使用の登山靴はドイツ製のマインドル・アルパインを主に縦走登山に、日帰りから3泊程度の短い山旅にはモンベル・ツオミを使っています。冬期登山はモンベル・アルパインクルーザー3000です。

2013年まで、春夏秋冬、北海道から九州沖縄まで、ツーリング・登山・サイクリング・パドリング(カヤック)をしています。年間のテント泊数は40泊から60泊程度、日帰りを含めると年間80日くらいはアウトドアにいました。

2014年に東京都から栃木県に引っ越しました。現在は宇都宮市に居住中、今後は宇都宮市から離れることはありません。現在は事情があって外泊が出来ないので、休日に福島県や群馬県や茨城県に400kmから600kmくらいの日帰りツーリングをしたり、那須岳や日光連山や南会津山地に日帰り登山をしたり、銚子市やいわき市勿来や福島市辺りまで200km-250kmほどのサイクリングに行ったりとしています。

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