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白山(その他)

白山(標高2702m)は日本三名山として太古より日本人に親しまれてきました。加賀国、飛騨国、越中国の三国にまたがる大きな山域を持つ山ですが、加賀国から見た山容が一番優美と言われ、加賀の白山と言われることの多い山です。日本百名山の一座です。一番多く利用される登山道は手取川の最上流にある別当出合から室堂に登る砂防新道と観光新道ですが、他にも加賀禅定道や中宮道、岩間道など北から登る登山道があるなど、道は四通八達しています。噴煙は上げていませんが活動的な活火山と認定されています。室町時代の1554年に翠ヶ池火口から小規模な火砕流が発生しています。

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砂防林道の登山口は市ノ瀬にあり、キャンプ場と無料の駐車場があり車中泊も可能です。白山の山頂まで最も距離の短い登山道なので、早朝には駐車スペースが一杯となります。市ノ瀬の先の別当出合にはトイレと水場がありますが車道は通じていません。市ノ瀬から別当出合までは往復で約15分です。
白山は健脚なら日帰り登山が可能の山ですが、山頂直下の室堂平の山小屋に宿泊する登山者が多いようです。別当出合から登り始めると、立派な吊り橋を渡り対岸に行きます。道は踏み固められていて歩きやすいです。九月上旬なら道の脇にはキツリフネの黄色い花やソバナの小さな花が見られます。
標高1516m付近にある中飯場には水場があります。標高1646m付近からは沢を挟んで観光新道が見て取れます。標高1941m付近には階段が設けられ、トリカブトの紫色の花が楽しめます。標高1978m付近にある甚之助小屋にも水場があります。これだけ水場に恵まれている登山道も珍しいでしょう。標高2097m付近には弥陀ヶ原へ至る道と南龍山荘へ至る道の分岐点があります。この分岐から弥陀ヶ原まではきつい上り坂となります。途中岩の階段を上ります。黒ボコ岩(標高2319m付近)に登ると視界が開けます。ここが砂防新道と観光新道の分岐点です。
標高2331m付近から白山奥宮の境域に入ります。このあたりは平坦な道で足がはかどります。標高2428m付近に堂平の山小屋があります。とても立派な建物で水場やトイレ、公衆電話があります。白山奥宮の入口の鳥居をくぐって白山山頂(御前峰)(標高2702m)を目指します。室堂から御前峰への道は急勾配ですがジグザグを切って登るので幾分だけ楽です。道は石畳で出来ています。白山の奥宮の祠があり、白山山頂を示す道標が立っていますが、別に御前峰山頂の立派な標識もあり、そちらの方で写真を撮る人の方が圧倒的に多いです。眼下に室堂平が見えます。
御前峰から北に登山道が延びています。池廻りコースです。翠ヶ池と剣ヶ岳が頂から見えますが、その方向へ下る道です。登山者の多くは御前峰から室堂へ下ってしまうようですが、北に歩くと素晴らしい景観が得られます。このルートは通る人の殆どいない空間です。道は石がごろごろとした急坂です。御前峰から下りこるに至ると翠ヶ池の縁に至ります。他にも小さな雪解け水を集めた小さな池が散在しています。九月上旬でも残雪が見られ、積雪の多さと気候の厳しさが分かります。池巡りコースは2時間ほどかかります。一泊二日で登山をするならぜひ歩いて貰いたいコースです。

観光新道の登山口は市ノ瀬にあります。市ノ瀬から車道を15分登って行くと白山禅定道の登山口が現れます。ここからの道は荒れていて未整備の様で利用者の少ないことが分かります。別当出合から道が開け明るい雰囲気となります。下草や笹の刈り払いも行われています。勾配は急で随所に階段が設置されています。1850m付近から森林限界を越え視界が一気に開けます。標高2308mに黒ボコ岩分岐があります。特に景観に優れているとか水場があるというわけではありませんが休憩スポットとなっています。黒ボコ岩は砂防新道との合流地点です。進むと弥陀ヶ原に至り木道の先には御前峰が遠望できます。室堂平の山小屋を通り御前峰に登ります。

加賀禅定道は全長17km、標高差2000mを超える江戸時代に利用されていた信仰登山の道で、白山一里野から入山して、大汝峰、御前峰を登ります。登山口は一里野にあります。白山スーパー林道の料金所の手前に岩間温泉に行く林道の分岐が有り、ここを20分ほど歩くと、加賀禅定道の登山口がありました。大きな看板が掲げられているので夜間でも見落とすことは無いでしょう。
尾根に取り付く登山道なので尾根の上に出るまではジグザグを切って登ります。急峻な坂道です。廻りは深い森林です。尾根の上に出てからも、道の廻りは深い樹林で視界はありません。途中にある奥長倉山避難小屋は綺麗な小屋で、室内は清掃が行き届いていて、清潔感があります。トイレもありましたが、水場だけは小屋の側にはありません。奥長倉山の山頂を越えると、鞍部に一度下り、登り返してからしばらくは平坦な湿原の中の道を歩きます。八月下旬、晩夏から初秋の花の移り変わりの季節でしたら、ニッコウキスゲやアオノツガザクラなどの夏の花と、ミヤマリンドウやミヤマトリカブトなどの秋の花が同時に咲いています。
湿地帯を過ぎ四塚山、七倉山の登り道となります。この道は長く急勾配の道です。四塚山の道はピークをやや東にそれていて、七倉山の道も山頂を巻いて作られています。四塚山と七倉山のコルには四つ辻があり、加賀禅定道、岩間道、釈迦新道、大汝峰に至る道の交差点です。
長倉山と大汝峰のコルは人の背丈ほどもあるハイマツで覆われています。緑の湖面を歩いている様な気がします。ハイマツ帯は日本中どこにでもありますが、これほど美しいハイマツ帯は珍しいです。ハイマツの丈が高く、一本一本の枝振りが豊かだから、そう目に映るのでしょう。大汝峰は、御前峰がわから見ると火口壁の残骸の様な岩の小ピークに見えますが、長倉山側から見れば尾根の上にのびのびと裾を広げる大きく立派な山に見えます。山肌もハイマツや高山植物に覆われていて、岩の肌は殆ど露呈していません。大汝峰の山頂には岩室の残骸なのか祠の跡か、石垣があります。この石垣の向こう側に白山の主峰の御前峰が見えます。室堂から見上げた御前峰とは異なった姿があって、翠ヶ池や千蛇ヶ池など幾つもの火口湖をまとった爆裂の後の火口壁が見られます。大汝峰からの下り道は岩の尾根道で、少し悪いです。三点確保の姿勢を取るほどではありません。道順は赤いペンキのマーキングが施されているので、道に迷う心配も少ないです。下りきると四辻で、中宮道と大汝峰の巻道、御前峰の登り道が十字路を作っています。四辻を千蛇ヶ池に進むとすぐに御前峰の登り道と巻き道の分岐がありますが、これが大変分かりにくいです。実際の登山道の他に、踏み跡がいくつかあって、登山道よりも踏み跡の方が道がはっきりしている箇所もあります。大汝峰と御前峰の鞍部には火口跡が幾つも見られます。いくつかは水を湛えて池となっています。一番大きな池は翠ヶ池です。鞍部から御前峰の登りは急峻な岩場の道で、足元は崩れやすい火山礫です。正面玄関にあたる室堂からの道が石畳なのに比べて大きく違っています。天候が悪いと御前峰の山頂から周囲を見回しても、雲以外は青空しか見えません。その中で、室堂だけが青々としたハイマツの中に浮かんで見えます。

トンビ岩コースは室堂平と南竜ヶ馬場を結ぶコースです。室堂から南竜ヶ馬場までは一途の下り道です。途中まではハイマツの中の切明道なので、視界が通っていて、眺望が良いです。振り返るといつでも御前峰が見えました。進むにつれてやがて、ハイマツ帯から樹林帯に変わり、道も沢沿いの坂道となると眺望は無くなっていました。南竜山荘からテント場までは300mほど離れています。テント場の面積は広く40張りから50張位のテントが張れそうです。水場、トイレもあります。

南竜ヶ馬場から御舎利山、三ノ峰避難小屋、上小池分岐、杉峠、赤兎山避難小屋を経由して市ノ瀬ビジターセンターに至る下りのルートです。
南竜ヶ馬場から尾根に登ると、尾根の先に御舎利山(標高2390m)があります。別山(標高2399m)は御舎利山に隠れてよく見えません。御舎利山の登りまでは、尾根は痩せていて東側は崖となっていて、ところどころは道が欠落していて巻いています。危険と言うほどの箇所は無いが、景観が見事なので、見とれていると落ちるでしょう。この稜線は視界が広く眺望が楽しめます。東の地平線に目をやると、北アルプスの連嶺が見えます。右から御嶽山、乗鞍岳、穂高・槍連峰が並んでいます。その左は立山・剣岳の立山連峰が見えます。
御舎利山と別山は双耳峰の様に二座が南北に並んでいます。チブリ尾根は御舎利山から派生しているので、登山道の分岐もこのピークにありますが、白山の主峰の一座は別山になっています。標高も別山の方がやや高いです。別山からは御舎利山越しに御前峰が見られます。別山から南に派生している尾根の上のピークが三ノ峰、二ノ峰、一ノ峰となります。石徹白道、あるいは南縦走路と呼ばれる飛騨国からの登山道にあたります。天候に恵まれれば眺望の素晴らしい道です。北アルプスを一望できます。三ノ峰の標高は2128mしかないので、標高2399mある別山からは下り坂の道となります。三ノ峰(標高2095m)は尾根の上の小さなピークでこれと言った特徴はありません。この辺りは良く出来ている道です。飛騨国からの参拝者は、ようやく三ノ峰にたどり着いても別山しか見られず、もう一踏ん張りして別山に登って御前峰に出会えるのです。この配置は狡知とさえ言えるかもしれません。三ノ峰を少し南に下ると三ノ峰避難小屋があり、小屋の前に分岐があります。水場は少し離れたところにあります。煉瓦色のしゃれた小屋で、屋内も清掃されていて綺麗です。トイレは2つあります。
三ノ峰分岐から杉峠までは、恐ろしいほどの勾配を持った坂道が続きます。歩き始めは尾根を巻いていたので気づかづ、尾根の上に出てみると、眼下、遙かに見下ろしたところに切り明けられた道が見えます。ざっと見積もって標高差は500mほどは急坂道を下ることが分かります。杉峠の標高は1300mほどですから、実際には800mほど下ります。しかし、尾根の下り道は眺望がよく、つま先の痛くなるのさえ我慢すれば、下るにつれ谷や尾根が近づいて来て風景に変化があるので歩いていて結構楽しいです。上小池分岐辺りまでの道は、結構整備が行われています。登山道もしっかりと下草が刈り払われています。上小池分岐を過ぎると下草の刈り払いはなされていませんが、道ははっきりとしています。歩きにくいということはありません。森林限界を越えると廻りはブナの森林となります。
杉峠(標高1339m)から赤兎山避難小屋までは猛烈なヤブコギで、人の背丈を超えたチシマザサをかき分けなければ進めない箇所が随所に出てきます。それでも、15分なり、30分なりヤブコギをしていると、ふっと空き地みたいな空間が現れるので一息がつけます。三ノ峰から杉峠までは登山者がそれなりに歩いているので、整備がされている様ですが、杉峠から赤兎山まで歩く登山者は希なので、整備を放棄した様です。この道には数カ所、道迷いの危険性があります。特に危ないのが、赤兎山と裏赤兎山の鞍部にあたる沢越の区間です。道と沢が交差しているのですが、ピンクのテープやペンキなどのマーキングが皆無なので、慎重に地形を幹分けてから進まないと、道では無く沢に入り込んでしまう可能性があります。他にも、道が池ノ中に入って途切れていたり、急斜面の坂道だが土石流で道そのものが流されて閉まっていたりと、なかなかタフな道です。
ヤブコギの続いた道なので赤兎山避難小屋に着いたときにはホッとするでしょう。この避難小屋は、三ノ峰避難小屋と全く同じ作りでした。規格品なのかもしれません。この避難小屋は位置からすれば、三ノ峰-赤兎山縦走の途中の登山者が利用する避難小屋と思えるのですが、縦走路が以上の様な状態ならば利用者は殆ど居ないでしょう。赤兎山から避難小屋までの道も荒れていましあ。ただし、小屋は外観も屋内も綺麗な状態が保たれています。
避難小屋から赤兎山までの間に赤兎湿原と呼ばれる小さな湿地があります。花は見られない貧弱な湿原です。湿原を横切る木道がつけられています。赤兎山(標高1628m)の頂には分岐があって鳩ヶ湯まで8kmと書かれてあります。しっかりと刈り払いがなされている道です。赤兎山から小原峠までは岩がむき出しの下り坂です。小原峠(標高1421m)は小さな広場となっていて、分岐があります。峠を越えて急な坂道を更に下って行くと、道の終わりの頃に川上御前社の小さな社が建っています。この祠から三ツ谷を経て市ノ瀬ビジターセンターまで歩くのですが、その距離は長く感じます。

白山の下山ルートの紹介です。
大汝峰を越え七倉山から岩間新道へ入ります。清浄ヶ原と呼ばれている平に出るまでは急峻な坂道です。下草の刈り払いはなされています。清浄ヶ原はハイマツに覆われていて気持ちの良い道です。平を過ぎると又急坂道となります。長い下り道を歩きいい加減に飽きたところに湿原があり、小桜平避難小屋が建てられています。新しい避難小屋(2010年に改築)で快適ですが、水場が少し距離があり、水量を得るのに時間がかかります。
小桜平避難小屋を過ぎるとコメツガとオオシラビソの森林の中の道となります。標高1461m付近から樹相はブナが主となります。標高943mで舗装林道の丸石谷林道へと抜けます。この林道を下って行くと新岩間温泉となります。小さなスペースですが駐車場も設けられています。標高571m付近で一里野温泉へと至ります。

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Yuichi Mizunuma H.N.う

Yuichi Mizunuma (H.N.zen)
当サイトの執筆・撮影とシステムの製作等全てを行っています。
2007-2013にかけて、北海道利尻礼文から九州屋久島まで日本の主要な登山道を歩いてきました。日本百名山は2013年9月に全山登頂を達成。

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2013年まで、春夏秋冬、北海道から九州沖縄まで、ツーリング・登山・サイクリング・パドリング(カヤック)をしています。年間のテント泊数は40泊から60泊程度、日帰りを含めると年間80日くらいはアウトドアにいました。

現在は八王子市に居住中、今後は八王子市から離れることはありません。

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