地名 | 到達時刻 | 所要時間 | |
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旭岳温泉 | 05時32分 | ||
姿見ノ池 | 06時57分 | 85分 | 1時間25分 |
旭岳 | 08時11分 | 74分 | 1時間14分 |
北鎮岳 | 10時09分 | 118分 | 1時間58分 |
姿見ノ池 | 12時42分 | 153分 | 2時間33分 |
旭岳温泉 | 14時00分 | 78分 | 1時間18分 |
一日の歩行時間 |
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8時間28分 |
日付:2010/09/13 |
朝、5時半、旭岳温泉の登山口にはまだ日が差しません。大雪山に朝日は隠れて居るようです。
昼前には一杯になる無料駐車場も、この時間は閑散としています。
点々と止まっている車から、ザックを背負い、ストックを持った登山者が出てきます。
全ての登山者がロープウェーの駅へと歩いて行きます。
旭岳温泉から旭岳までの道は以前に歩いたことがあって、おおよその事は覚えています。対して長い距離ではないので、ロープウェーを使ってしまうと、下山の時刻が大幅に早まってしまいます。
あまり、歩く距離が短いと歩いた気もしないので、ロープウェーは利用せずに歩いて登ることにしました。
登山口にはおなじみのヒグマ注意の標語が、入山届けの箱に書かれていました。
旭岳の登山道の様に、多くに人に登られている所にはヒグマは気配を察して出ないだろうと思っていたのですが、中にはとぼけたヒグマがいるらしく、霧の濃い日に、道を見失ったらしいヒグマが金庫岩辺りで登山者とばったりであったことがあるそうです。
天女ヶ原と呼ばれる登山道は、北海道の登山道としては良く整備されている方ですが、土砂は流されて岩がむき出しとなり階段状となっていて、木道は半分朽ちていて、うかつに足を載せるとバキバキと折れる音のするものです。
この道は、初夏の花のシーズンは見事と言うことを聞いていますが、9月中旬に花は見られず、といって秋の紅葉にはまだ早く、面白みのない道でした。
誰も登っていないだろうと思っていたのですが、姿見ノ池の手前で、ドイツ人らしい大柄の男性に追いつきました。190cm近くある大男が、頭を越えるくらい大きなザックを背負っていました。
姿見ノ池に着くと、ロープウェーの始発が着いた後だったらしく、登山者の群れがあちこちに見られます。
殆どのグループはロープウェーの駅のそばのベンチか、姿見ノ池の展望所にたむろしていましたが、旭岳の斜面に取り付いているグループも見られます。
ここで朝日が見られました。
天候は晴れ、蒼天を背景にした旭岳の姿が姿見ノ池に映っていました。
旭岳の登山道は、地獄谷の噴火で吹き飛ばされた山肌の残り部分を登ります。
地面は脆く浮いた火山礫で覆われていて、大変に歩きにくいものです。
ハイカットの靴か、スパッツを身につけていないと、砂礫が靴の中に入ってきます。三歩登れば一歩分はずり落ちる様な道でした。
地獄谷の噴煙が上がる音が良く聞こえます。
砂礫の尾根を登って行くと、徐々に前方右手に視界が開けてきます。高根ヶ原からトムラウシ山に連なる溶岩台地の尾根がよく見えます。ただ、まだ標高が十分に高くはないので、トムラウシ山は山頂だけを覗かせています。
山頂の手前で直角に左に曲がります。
この曲がる箇所を、霧に巻かれたときは、曲がらずにまっすぐに降りてしまって、遭難する登山者が多かったと聞いていますが、今はロープが張られていて、道間違いを防いでいます。
旭岳の山頂はお皿をひっくり返したように広々としています。
晴天で視界はどこまでも続きます。
旭岳から鞍部に降りて、熊ヶ岳の火口壁を通って間宮岳に出ます。
下り道で、飯ごうをザックに結びつけた女の子が登ってきて、元気よく挨拶をしていきます。時刻から旭岳のテント場に止まったのでしょう。
間宮岳の着いた頃に、旭岳の方角に雲が湧いてきて、あっという間に山頂を飲み込んでしまいました。その後、旭岳の山頂の雲が晴れることはありませんでした。1時間足らずの差で、晴天の旭岳に登るか、雲の中の旭岳に登るかの分かれ目だったようです。
雲に隠されたのは旭岳で、御鉢平の外縁は晴れています。
御鉢平の外縁の上には、樹木はなく、僅かに生えている高山植物も、秋枯れていて、火山性の大地と同じ様な赤茶けた色をしています。僅かにハイマツの緑色が目を引きます。
間宮岳から中岳に下って、コルから登り返すと、北鎮岳の頂はすぐです。
この辺りまで来ると、層雲峡から登ってきた登山者とすれ違うようになりました。
北鎮岳に登ると、ほぼ同時に雲が西から湧いてきて、当麻岳の尾根や、永山岳の尾根、白雲岳の方角を隠して行きました。
北鎮分岐に下ることには、辺りは真っ白となりました。
表大雪の山道の殆どは歩いていたのですが、歩き残していたのが裾合平の道です。
花の季節か紅葉の季節が美しいのですが、この年は暖冬で、初雪があっても9月中旬と言うのに、まだ紅葉は所に着いたばかりでした。
中岳温泉という、地面を掘って湯を引いただけの露天風呂があります。
いまの日本では、登山道に面している源泉が観光施設にもならず、そのまま放置されて流れるに任されると言うのは珍しいでしょう。
沢の水に硫黄分が混じるらしく、中流まで石に湯ノ花が付着していました。
道を下って平坦部にかかると、チングルマのワタスゲが一面に見られます。
大雪山ではチングルマの大群生は珍しくはないのですが、花の季節を歩いて見たくなる景色でした。
裾合平は当麻尾根と旭岳に挟まれているところです。
当麻乗越からの道との分岐の辺りから木道が敷かれています。
ロープウェーで登ってくる観光客のためのものでしょうか。
分岐から姿見ノ池までは、夫婦池があったりして、ハイキングに適した景観の道です。
姿見ノ池に着くと、多くの観光客で賑わっていました。
噴煙が朝よりも激しく吹き上げている気がします。地獄谷の噴気は吹き上がると、山頂を覆っている雲に紛れて区別がつかなくなっていました。
観光客のあいだを縫って、旭岳温泉へと下りました。