地名 | 到達時刻 | 所要時間 | |
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上野原駅 | 06時40分 | ||
御前山 | 07時36分 | 56分 | 56分 |
高柄山 | 09時25分 | 109分 | 1時間49分 |
寺下峠 | 11時26分 | 121分 | 2時間1分 |
倉岳山 | 13時26分 | 120分 | 2時間 |
高畑山 | 14時49分 | 83分 | 1時間23分 |
鈴懸峠 | 16時01分 | 72分 | 1時間12分 |
九鬼山 | 18時17分 | 136分 | 2時間16分 |
富士急田野倉駅 | 19時36分 | 79分 | 1時間19分 |
一日の歩行時間 |
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12時間56分 |
日付:2011/05/02 |
初めて上野原の街を通ったのは、四国や九州を一通り旅した後でした。
九州では原を「ハラ」と呼ばずに「ハル」もしくは濁音で「バル」と呼ぶ地名が多くあり(西南の役の激戦地の一つの熊本県の田原坂は「たばるざか」と呼ぶのが有名)、その読み方の癖が濃厚に残っていた時期に最初に通ったので、未だに「うえのはら」と呼べずに「うえのばる」と呼んでしまうことがあります。
上野原駅を降りて南に歩き始めてすぐに出会うのが桂川。雅た名の川のこの辺りはダム湖の相模湖の最上流にあたり流れはありません。湖畔には朝靄が立ちこめていて風情が感じられ、テントを放り込んだカヌーで数日掛けて巡ったらさぞ面白いだろうと想像させてくれました。
桂川は相模川の上流部の呼称です。
桂川を渡ると学校があり、交差点となっています。地図ではここは直進と書かれていますが、現地の標識では右に曲がる様に指示しています。標識にしたがいました。
15分ほど住宅地の中を歩くと墓地に出て、その先が御前山に登る道の入口でした。
山頂までは1時間ほどですが、手足を使わないと登れない岩場があり、なかなか登りでがあります。
御前山からぐっと急な坂を下って行くと、沢とも道ともつかない谷にでます。
谷の中に出合の様なところがあり、ここを左に曲がると指導標がある。高尾山などを歩いていると、これが道かとひるんでしまう様な道で、単なる沢と言っても通りそうです。北海道や東北のほとんど人が歩くことのない山を歩いていなければ引き返したかも知れません。
沢の様な道を登ってゆくと尾根に出て、ジャンクションピートでも名付けられそうな尾根の三叉に「新矢野根峠」の指導標と東屋が建っていました。あまり人が通って居なさそうな道の上に東屋があったので意外な気がします。
新矢野根峠から高柄山まではわずかな登りで達せられます。
山頂からは、今歩いてきた御前山から、鞍部、稜線が見えますが、それ以外の方角は樹木で覆われていて眺望がありません。
高柄山から下り新地峠までの間に南北に通じる舗装林道があって、東西に走る登山道が分断されています。舗装路を横切るだけならあまり気にならないのですが、舗装路の向こう側には登山道がないので、舗装路を少し北か南に歩かなければなりません。舗装の車道を歩かされると言うことは苦痛です。
舗装路を北に歩くと、下から登ってくる登山道と、先に進む登山道が舗装路によって分断されている箇所にでます。舗装路は山を削り谷を埋めて造られているらしく、山肌が雑草で覆われていますが、しっかりとした法面工事が施されている様には見えないので、大雨でも降れば立間に土砂崩落になるかも知れません。
手すりのある入口を登ってゆくと、十字路があり、そこを右に折れると倉岳山への道でした。
十字路から先は痩せた尾根の上の道です。尾根の狭さに合わせた様な細い道が先に伸びています。
倉岳山までの稜線の道は、小さなピークと峠がいくつもあり、登っては降る道のりでしたが、あえぐ様な箇所はありませんでした。峠は、すでに一般的な道では無くなっていて、ハイキングや登山で歩かれるだけの道となっていました。標識があるので峠と分かるものの、無ければただの鞍部として気がつかなかったかも知れません。
倉岳山の東側の立野峠から山頂までが急坂で、あごが出ます。
山頂は小さな広場となっていて、先に歩いていたグループが休憩を取っていました。
倉岳山と高畑山の鞍部が穴路峠です。
秋山村と甲州街道の宿場町を結んでいた三つの峠道、寺下峠、立野峠、穴路峠の中ではここが最も峠らしい峠で、人工的に切り通したのではないかと思えるほど、深々と切れ込んでいます。この穴路峠の規模を1000倍くらいにすると、岳人あこがれの大キレットになります。大キレットは難所には全てクサリやハシゴが設けられているので、一般に言われているほどの困難な路ではありません。三点姿勢さえ取れれば誰でも通れるのではないかと思います。
魅力的な穴路峠を過ぎるとまた急坂で、登り切ったところが雛鶴峠に降る道との三叉路で、その先に高畑山の山頂があります。
大月市富岳十二景に選ばれている場所なのですが、春霞で富士山はもちろん、谷を挟んで見えるはずの赤鞍ヶ岳なども見えません。
高畑山から降るとドコモの電波塔を管理する人が通る舗装道路に出ます。ゲートで閉じられていますが、登山道の方が先に通っていたらしく、歩行者の通行の支障が起きない様な作りになっています。
管理道路は舗装林道に抜けて鈴懸峠(鈴ヶ音峠)まで歩かされます。
山歩きをしていて何がいやと言って、山中で車道を歩かされることほどいやなことはありません。入山や下山の時ならあきらめも付くのですが、峠を越えるときの車道は山歩きで膨らんでいる気持ちを一瞬でしぼませてしまいます。せめて横切る程度にして貰いたいものです。
鈴懸峠から九鬼山までが長かったです。
小さなピークを登っては降り、檜の植林された林を過ぎると、一途の登りとなって九鬼山山頂に至ります。日の長い5月と言っても、そろそろ日没が気になる時刻になり、九鬼山に着く前に暗くならないようにと1日歩いて疲れてきた脚を励まして先を急ぎます。
九鬼山の頂の周りの山桜が咲いている時期で目を楽しませてくれましたが、景観は相変わらずの春霞で見えません。
日没の時間となり、気温も下がってきました。出来れば大月まで稜線を歩いてゆきたかったのですが、時間的にそうも行かないので田野倉駅に降ります。九鬼山からの下り初めが凄い坂道でつま先が痛くなりました。
御前山の岩登りで始まり、九鬼山の坂道で一日が終わる、急坂に縁のある縦走路です。
田野倉駅に着いた時は午後7時を廻っていて、辺りは真っ暗でした。