第2日目 湯の沢峠-大菩薩峠-大菩薩嶺-丸川峠

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行程

地名到達時刻所要時間
湯の沢峠05時52分
小金沢山08時57分185分3時間5分
大菩薩峠10時32分95分1時間35分
大菩薩嶺11時28分56分56分
丸北峠12時25分57分57分
丸北峠分岐駐車場13時45分80分1時間20分
大菩薩峠登山口バス停14時02分17分17分
一日の歩行時間
8時間10分
日付:2011/10/24

山行記

小金沢山

日の出と共に歩き出すが、昨日に続いての曇天。昨日よりも悪いことに雲高が低く、霧の様に垂れ込めている。昨夜半に空を見ると星空が広がっていたので晴天を期待していたのだが、天候は回復しなかった。

気温は、氷点下を覚悟していたのだが、早朝でも10℃と10月の山としては信じられないくらいの高い気温で、歩き出し始めると汗が噴き出してくる。晴天の放射冷却の逆で、曇天の温室効果らしい。

黒岳と書かれた小ピークまでは樹林帯だが、ここから先は樹林は少なくなり、笹に覆われた稜線となる。疎らに樹木が生えている。
早朝の霧は晴天に変わることがあるので、期待をして空を見ていると、ときどき青空が見られるもののすぐに雲に隠されてしまう。

昨日は眺望を期待するほどの山は歩いていなかったので、曇天でもそれほど気にならなかったのだが、今日は大菩薩峠から大菩薩嶺にかけての自然の展望台を歩くので、せめてその時間だけでも晴れてくれればと思うのだが、そうした期待はむなしかった。

小金沢山の山頂は少し変わっている。北八ヶ岳の縞枯山や茶臼岳に雰囲気が似ているだろうか。
枯れ木が多く見られ、枯れ木の中に若木が青い葉を付けて育っている。
山頂一帯は、樹木をくりぬいた様に開けていて眺望がありそうだが、曇天で何も見えない。

大菩薩峠

小金沢山から石丸峠の間にちょっとした岩場があり、落ち葉が道を覆い隠していて道に迷いやすくなっている。踏み跡が幾筋も造られていて、踏み跡でない水の流れの跡との区別も難しい。

石丸峠にさしかかる辺りから、左手にダム湖が見えてきた。普段なら道という景観ではないのだけれど、これだけ雲と霧にたたられていると、ちょっとした風景の変化でも喜んでしまうらしい。

石丸峠から大菩薩峠は樹林に覆われた鬱蒼としたピークを越えるだけで達せられる。たいしたピークでは無いのだけれど、前回歩いた時も、今回もなぜかこのピークがひどく厳しいものに感じられた。
明るい稜線歩きから樹林帯の薄暗くじめじめした道に突然変わるからかも知れない。

大菩薩峠に出ると、人があふれかえっていて腰が引けてしまった。
初狩駅からここまで、ほとんど人を見かけなかったからだ。
大菩薩峠は土産物屋も開いていたりして、観光地の様だった。休憩は取らずにすたすたと先に進む。

大菩薩嶺

大菩薩峠から大菩薩嶺の手前の分岐までは、南斜面に限って樹木が無く、眺望が得られるこの縦走路の一番の楽しみなのだが、こう雲が深いと展望はゼロなので風景を楽しむこともなく通り過ぎる。

あちこちに数名単位のグループが腰を下ろして休んでいて、登り下りの斜面には、グループが歩いている。人間が二人いれば黙っているはずはなく、あちこちで人の話し声がする。
森閑とした深山を歩いてきたので、人の話し声も騒音にしか聞こえない。

大菩薩嶺の山頂は樹木で覆われていて眺望は無いのだが、人がわんさといたので立ち止まることもなく通り過ぎてしまった。
人はピークで休みたがるものだ。

大菩薩嶺から北の峠までは深い樹林帯の道で、勾配はそれほどきつくない。
登山者とは一人すれ違っただけで静かなものだ。大菩薩嶺の様なハイカーに人気の山でも、道を一つ外せば深山を歩ける好例だろう。

丸川峠の山小屋は、とたん張りの屋根と壁の粗末な建物で、この様な小舎に好んで泊まる登山者がいるのかと、採算をつい心配してしまう。位置的にもあえて宿泊をしなければならない箇所では無いので、必要だから粗末な小舎でも我慢して「泊まる」と言う登山者はいないはずだ。

下り道

2008年の晩秋に大菩薩嶺に登った時は、この道を登ってきたのだが、今回は丸川峠から大菩薩嶺登山口バス停まで逆方向に下ってゆく。

降ってみて驚いたのは、山道の記憶がまったく欠けていたことだ。土の路の急斜面に石がぼこぼこ植わっていて、段差が時に1mを越す様な箇所がある。特に危険な訳では無いのだが、それなりに体力を消耗するので、この岩だらけの道なら多少は覚えていても良いはずなのだが、記憶にない。

大菩薩連嶺はなだらかな稜線歩きがほとんどで、顕著な登り坂と言えば1500m級の滝子山だけで、楽な山旅だったのだが、この二日間楽な思いをしてきたつけを、ここで払わされることとなった。石丸峠から登山口バス停までの坂道は、きついとは言え、1時間半程度の短い下りで、普段ならあごが出るほどの道では無いのだが、今回はひどくこたえた。
車道に出た時にはつま先が痛くなっていた。

大菩薩連嶺登山口バス停

バス停に着いたのは予定通りの午後2時丁度。
午後2時台に塩山駅行きのバスが出ることは下調べして分かっていたのだが、靴を脱いでくつろいだとたんにバスが来たのには驚いた。バス停の時刻表には午後2時56分と書かれていたから、1時間近くの待ち時間があると思っていたからだ。

もっとも待ち時間は短い方が良いので靴を履くまで運転手に待っていて貰う。街中ならひんしゅくものだが、地方のバスでは大目に見て貰える。
バスに乗ってから、しきりと車窓からの風景を見たが、近景の民家や川はともかく、遠景の大菩薩連嶺や奥秩父山脈は雲に隠れて見られなかった。

午後2時に下山して、午後5時過ぎには八王子の自宅でくつろいでいたのだから、大菩薩嶺と八王子はずいぶんと近いものだと、感心してしまった。

地図

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