地名 | 到達時刻 | 所要時間 | |
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JR大月駅 | 05時56分 | ||
金山民宿バス停 | 06時56分 | 60分 | 1時間 |
山口館(金山・車道行止) | 07時50分 | 54分 | 54分 |
金山峠 | 09時24分 | 94分 | 1時間34分 |
雁ヶ原摺山 | 11時57分 | 153分 | 2時間33分 |
大峠 | 13時06分 | 69分 | 1時間9分 |
黒岳 | 14時22分 | 76分 | 1時間16分 |
湯の沢峠避難小屋 | 15時19分 | 57分 | 57分 |
一日の歩行時間 |
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9時間23分 |
日付:2012/06/10 |
JR大月駅から金山まで歩いて車道を詰めます。2時間の舗装路歩きは本当に辛いもので、引き返そうとは思わなかったものの、30分も歩くと休憩をしたくなってきます。地図で見て目算で2時間かかると思った通り、ほぼ2時間で金山集落の最奥の山口館に着きました。
金山にはここまでの途中に森屋荘、河野園の2つの宿があり、その先に山口館があり、計3軒の宿があるのだが、そんなに宿泊客の需要があるのかと驚いてしまいます。それでも、森屋荘や河野園はバーベキューの設備があったり、山女魚だか岩魚だかが池に飼われていて、釣りかつかみ取りかは分からないのですが、お客の楽しみに饗することもしていますが、山口館はそう言ったことはしていなさそうでした。一見したところ、普通の民家で、ただ、軒先にコーラやジュースの空き瓶が一杯入ったケースがうずたかく積まれていたので宿と分かる様なものでした。
余計なお世話と怒られそうですが、どの様なお客が泊まるのか、採算が取れているのか、人ごとながら心配になってしまいます。
舗装路は、山口館の直ぐ先の駐車場で終わりま。
乗用車やタクシー利用の人は、ここまでは歩かずに済む訳です。
駐車場は目算したところ8台から10台の車が止められます。この日は、宿泊客のか登山者のか1台のワンボックスカーが止まっていました。
車道はここで通行止めとなり、土盛りがしてあるので車では薦めませんが、その先もずっと車道が続きます。しばらくはコンクリートで舗装された荒れた車道で、やがてダートとなります。
車は無理でもオートバイなら走れると思われそうですが、そこここに落石があったり道が欠落して無くなっていたりするので、徒歩以外では進めないでしょう。
毎回、車道を歩いていると登山道を歩く以上に疲労感を感じるのですが、この日も例外ではなく金山を通り抜けることが疲れのピークでした。
登山道に入ったら、適当な場所を見つけて休憩を取ろう、と言うことが車道を歩いていた時の唯一の励みでした。
普通、こうした山村を抜ける道路は、それなりに風情のある民家や集落の景観を楽しめるはずなのですが、この道沿いにはそうした風情が何もありません。森も植栽林で見る価値が無し。
歩く以外にすることがない道を歩いていたのです。疲れるのが当たり前かも知れません。
この区間は、車で移動するのがお薦めです。
廃道となった林道が終わるといよいよ登山道歩きです。
人間は現金なもので、あれほど疲れていたのに登山道に入ったとたんに元気になり、結局、雁ヶ原摺山の山頂まで約6時間、休みなしで歩ききってしまいました。疲れたと感じていたのは体ではなく、精神の方だった様です。
金山から金山峠までの登山道は殆ど利用されていないらしく、下草が道を隠しかけています。
沢渡りには丸木橋が架けられているので、脚をぬら事は無いのですが、一箇所、沢を渡ってから陸に道が無く、沢を5mほど登ってから陸に上がるところがあるのですが、昨日の雨のための増水でその取りかかりが分かりづらくなっていて、ルートファインディングのために数分、橋の周りで先の道を探し回りました。
更に先に進むと、道が5mほど、土砂崩れで無くなっている箇所にでました。
迂回路も踏み跡もありません。砂混じりの脆い土質急斜面で、斜面を無理によじ登ることも出来ないのです。
小さな沢が流れていて、その沢に沿って5mほど登り、そこから階段状になった木の根などを足がかり、手がかりにして登りました。10mほど斜面を登ると、道があります。
この2箇所、危険と言うほどではないのですが、初心者が一人で歩くと、ちょっと戸惑うかも知れません。
道が見つけられないと迷う可能性もあります。
崩落箇所は、登る高さはわずかなので死ぬ危険はないと思いますが、足を滑らせれば沢に落ちるのは確実なので、捻挫か骨折くらいはしそうです。
昨年(2011/10)に初狩駅から藤沢を経由して滝子山に登った時も、沢歩きの道の悪さに驚いたことがあるのですが、金山峠までの道はそれ以上です。
金山峠から下ると、すこし林道を歩いて、また登山道に戻ります。
この辺りで小雨が降り出してきたので、雨天用のロングスパッツで足元を固め、折りたたみ傘をさしました。
林道からの入り口は草に覆われていて、この先の道が果たして歩ける状態か不安になったのですが、草で覆われているのは陽の当たる200mほどの区間だけで、植栽林の中に入ると、日が差さないので草が生えていなくなり、歩きやすくなります。
2000mに足らない雁ヶ原摺山ですが、金山からの登り道はわずかの踊り場の様な区間を除くと、登りの一本調子の道で、しかも勾配はなかなかに急です。
早朝からの気温は15℃で、雨が降り出したことと昼になるにつれ標高が高くなるために、15℃以上には上がりません。厳しい登り坂でしたが、気温が低いことに助けられたかも知れません。
晴天なら25℃くらいにまで上昇したはずで、それだけ気温が高いと相当に体力を消耗せられます。
途中にぽつりぽつりと咲いている小さな野の花が、疲れるのを幾分なりと防いでくれました。
山頂が近くなると岳樺の大木が観られる様になります。
白樺によく似た樹皮を持った木ですが、白樺がなまえの通りに白色なのに、岳樺はやや茶色、ないしはオレンジがかった色をしています。木の伸び方も違っていて、白樺が鉛筆の様に地面から空を差す様にすっと一直線に生えているのに、岳樺はくねっくねっと数カ所で曲ながら上へ伸びています。滝子山や三頭山の山頂にも生えているので、この辺りでは標高1500mくらいが生える目安のようです。
雁ヶ原摺山の山頂は樹林の中にあり、ただ、古い時代の500円札のデザインの富士山がこの山からの姿だと言うことで、富士山の見える方角だけ樹木が綺麗に切り開かれています。
ここまで、登山者には一組2名しか出会わなかったのですが、大峠から手軽に登れる山とあって、雁ヶ原摺山の山頂には数名の登山者が居ました。
山頂にはベンチなどの休憩施設はなく、その役目は大きな数個の岩が果たしていました。
それでも、道標や案内板、説明板などが林立している騒がしい頂です。
5分ほど休んでから大峠に下ります。
大峠までの道も急坂で、ただ、歩く人が多いためか、飼い慣らされた道という印象です。
ちょうど、ミツバツツジの開花の時期に合っていたようです。雁ヶ原摺山から大峠までの道には沢山のミツバツツジの木が自生していて、それが一斉に花を付けています。
4月下旬から5月下旬にかけて、奥多摩のあちこちで見られる山桜も美しいですが、濃く艶やかな色の花だけに、ミツバツツジもすばらしい景観をつくってくれます。
大峠に下る直前に御硯水と呼ばれる清水の水汲み場があります。
飲んでみると、冷たく大変に美味しい水でした。
一応、水が得られないという前提で3Lの水を背負ってきたので、まだ水が半分近く残っていたので不要だったのですが、空いていたペットボトル2本に御硯水を詰めておきました。
大峠は舗装された林道の峠で、鹿除けと思われるゲートがあります。車の通行制限の為では無いようです。駐車場は11台から13台ほどの乗用車が止められます。上手に規則正しく止めれば15台は止められるでしょう。この日は5台の車が見られました。
駐車場の橋にトイレがあります。
休憩用の東屋は、10mほど登ったところにあります。しっかりとした作りの東屋で、床は石畳、壁に沿って三面にベンチが設けられています。雨が降っている山旅には、絶好の休憩場所です。水とトイレがあるので、悪天候時にはビバークも出来るでしょう。タクシーもここまで入ってこられる様ですが、残念ながらドコモの携帯はつながりませんでした。
大峠から赤岩ノ丸までが急峻な登り坂、赤岩丸から黒岳の山頂下までは緩やかな勾配、山頂直下がまた急坂、となっています。
雁ヶ原摺山の樹海を上回る様な森林の中の道で、標高が高いために針葉樹が多く見られます。
それと、なぜか立ち枯れをした唐松(?)が数カ所に固まってみられます。秩父山脈や北八ヶ岳でも樹木が立ち枯れする姿が見られるのですが、正確な原因は分からないようです。
大菩薩連嶺の主稜線の上に達して右に折れて2分ほど歩くと黒岳の頂です。樹木に覆われている一突起なのでとくに感想は湧きません。声がしていたので、樹林の中を空かして見ると、下山しているグループが見えました。
黒岳の山頂は、長い休憩を楽しむのには適しては居ないようです。
黒岳は素通りして湯の沢峠に向かいます。
昨年(2011/10)の山旅の記憶では、斜面が底からなだれ落ちてしまった様な薙ぎの脇の足場の悪い急坂を登った記憶があったのですが、その印象が強く、他の景色は忘れていました。
薙ぎの手前に小ピークがあり、これが天然の展望台の役割を果たしています。残念ながら一面雲で何も見えないですが、樹木の中をずっと歩いてきた一日だったので、頭上に何もないのは気持ちの良いものです。
この草原には、チングルマを半分にした様な白い小さな花が一面に咲いています。チングルマと違って群生は作らないらしく、注意をしていないと気がつきません。
薙ぎの道を下りきるとそこが湯の沢峠です。
十字路の峠の道を右に降ると、60cmの段差のある土留めの階段を数段下ると避難小屋があります。
湯の沢峠避難小屋は、外観は古くさくてショボイですが、中は掃除がされていて清潔を保っています。昭和50年代初期の建築と聞いているので30年以上を経ているのですが、室内をみるとよほどに大事に使われてきたことが分かります。
板の間に10名以上の人が横になれるでしょう。
この日は、他に泊まり客は居ませんでした。
わたしはシュラフを持参しましたが、毛布と布団があるので、手ぶらで訪れても暖かい一夜を過ごすことが出来ます。
水場が5分ほど小屋から降った所にあります。
笹藪の仲の道で、足元も悪く、日が暮れた暗闇の中を、水を汲みに行くのは躊躇するものがあります。
トイレは20mほど離れた処にあり、20台ほど止められる駐車場に隣接しています。
峠まで乗用車で来る登山者も多い様で、数台の車を見ました。
湯の沢峠の野鳥は夜更かしが好きなのか、午後6時を廻ってもウグイスなどの鳴き声が聞こえていました。