室堂まで公共機関で移動すれば、1日で登ることも可能な立山・剣岳を3泊4日で歩いた贅沢な日程の山旅です。雨天のカニのヨコバイとタテバイは興味深いものでした。
信濃大町駅発、扇沢行きの定期バスは早朝6時15分の発車です。登山シーズンを過ぎた9月の平日とあって乗客は少なく5名。バスは大型で四列シート。扇沢まで快適に運んでくれます。
扇沢へは6時35分に着きましたが、トローリーバスの乗車券売り場がまだ開いていません。始発が7時30分なのですが、6時50分頃、漸く開きました。
切符は黒部ダムまでの往復券を購入しました。片道1500円が往復で2500円と割り引かれます。切符を購入してすぐにトローリーバスの乗車口に並びましたが、7時を過ぎると長い行列となりました。
トローリーバスは、乗客が多いときは、人数に合わせてバスを増便するので、乗りはぐれると言うことは無いのですが、現代人は並ぶのが好きなのでしょうか。
もっとも、並ぶメリットもないわけではなく、前に並んでいるほど、早いバスに乗れるので、目的地に早く着くことが出来ます。先頭の方に並んでいれば一号車に乗れますが、最後尾に並んでいると5号車、6号車に乗ることになり、到着時刻が10分から15分は遅れます。
黒部ダムで下車をした人はわたし一人でした。他の人はダムサイトを横切ってケーブルカー駅に並びます。くろよんロッジを過ぎてタンボ平にかかると雨となり、登るに従って雨脚は強くなり風も良く風となってきました。
一ノ越を越えて室堂を経由し、雷鳥沢のテント場に向かいました。
二日目、雷鳥沢から剣岳を往復するので、日の昇る前に出発をします。
別山乗越から稜線下の道を取り、剣山荘を経ないでくろゆりのコルを過ぎると、一服剣の辺りからまた雨となりました。前剣にかかる頃には土砂降りとなって風も出てきました。
岩の下の風が避けられるところに避難をして天候の様子をうかがいます。
30分ほどで風が収まり、雨脚も弱くなったので先に進みます。クサリ場の多い剣岳の登山渋滞は有名なので、オフシーズンの9月の平日を選んだのですが、悪天候にもかかわらず発生した、名物の登山渋滞を数カ所で体験した後、山頂に立ちました。
霧で何も見えないのが残念です。
往復に要した時間は予定よりもだいぶ短くて済みました。
三日目、別山から雄山、浄土山と立山三山を歩いてから獅子ヶ岳を越えて五色ヶ原に至ります。この日も朝から曇った一日で、視界はききません。立山三山の道は楽な道なので、景観が見られなければ山場はなく、だらだらと足に任せて歩きます。
獅子ヶ岳の岩場の道は、難所と言う記憶が残っていたのですが、さほどのことはなく、特に気を遣うこともなく過ぎてしまいました。
花の名所の五色ヶ原ですが、9月となると咲いている花はわずかで、トウヤクリンドウなどが目立つ程度でした。
四日目、五色ヶ原から黒部ダムに下ります。
長く急峻な坂道でしたが、三日前に通ったタンボ平の道よりはましです。刈安峠の鞍部を越してから、特に勾配が急となります。雨がまた激しく降り出しました。
平の小屋から黒部のダム湖の縁を歩くのですが、ダムまでは長く感じる道です。
小さな登りや下りの多い道で、ところどころ土石流で道が寸断されています。
黒部ダムも雨ですが、観光客はとても元気です、ダムサイトの上を走り回っていました。剣岳と立山を歩いたとののわたしには、とてもそんな気力も体力もないので、トローリーバスがくるのを待って乗り込むだけでした。