地名 | 到達時刻 | 所要時間 | |
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雨飾高原キャンプ場 | 04時16分 | ||
笹平分岐 | 07時06分 | 170分 | 2時間50分 |
笹平分岐(雨飾山往復) | 07時58分 | 52分 | 52分 |
金山 | 11時47分 | 229分 | 3時間49分 |
富士見峠 | 13時10分 | 83分 | 1時間23分 |
焼山 | 14時35分 | 85分 | 1時間25分 |
火打山 | 17時16分 | 161分 | 2時間41分 |
高谷池ヒュッテ | 18時34分 | 78分 | 1時間18分 |
一日の歩行時間 |
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14時間18分 |
日付:2013/08/29 |
山と高原の地図雨飾山のコースガイドのタイムを累積すると、雨飾高原キャンプ場から高谷池ヒュッテまでの所要時間が16時間前後かかるという。しかし、山と高原の地図のコースガイドのタイムは山域によって大きな誤差があるので、実際に歩いて見なければ、所要時間は分からない。
とりあえず、15時間以上かかるという前程で、出発を日の出前の4時過ぎとした。
雨飾高原キャンプ場には5張り以上のテントが張られていて、隣接している駐車場には車中泊の登山者が数組いるから、10組以上の登山者が居るわけだが、さすがに午前4時過ぎに動き出す気配は無い。
何しろ雨飾山は、往復でも6時間から7時間も見ればおつりが来るくらいの近い山だ。日の出前の出発はその必要が無いだろう。
キャンプ場の端が登山口で、歩き出すとすぐに木道が現れる。
この登山道は以前に歩いているので勝手が分かっている。一度尾根に取り付いてから菅沢に下り、徒渉をすると、いよいよ岩稜の登り坂となる。布団菱の岸壁が見事に朝日に輝いていた。
岩稜の登り道なので眺望は得られるが、ハシゴの多い道なので安定性が無いから、落ち着いて風景を見るのには、やはり笹平まで登る必要がある。
笹平に出ると、すぐに金山の道の分岐があるので、ここに荷物を置いてから雨飾山まで往復をする。背が軽く、羽が生えた様と言うたとえがピタリの足の軽さだ。
晴天の雨飾山の山頂からの眺望は見事で、北アルプス北部の山の殆どが見られる。北から越後朝日岳、雪倉岳、白馬三山、五竜岳、鹿島槍ヶ岳などの後立山連峰の連嶺。その先に糸魚川の市街のある海岸線が見られる。能登半島は霞の向こうで見られなかった。
笹平から東に向かって太い尾根が延びている。その先に金山(2245m)がある。金山は雨飾山(1963m)よりも標高が高いので、金山の東にある頸城三山は見られない。
笹平分岐に戻る頃には、日帰りの登山者が大勢登って来ていた。
日の出に合わせて5時前後の出発と思われるのだが、わたしの方が大きく重い荷物を背負っているので歩く速度が遅いため、1時間前後早く出発したマージンがこの辺りで無くなった様だ。
茂倉尾根に向かって笹平から下る。
下草や笹の刈り払いはされていない道で、しかも急勾配だから歩きにくい。道はジグザグに切られてはいなくて、直線的に作られている。この辺りの作りは栂海新道に似ている。限られた予算や時間で切り開かれた道なのだろう。
斜面を下りきった辺りに大曲の分岐が有り、鋸岳と書かれた指導標が立っていた。沢が流れていて取水ができる。
雨飾山から火打山までのコース上で補水が出来るか不安だったので2.5Lの水を出発時に背負ってきていたが、ここで補水が出来るのであれば、出発時は0.5Lで済んだ。水量の豊富な沢なので、秋でも涸れないだろう。
山旅の立案中には猛烈なヤブコギも念頭にあった茂倉尾根道だったが、道は一年に一度は下草の刈り払いをしている形跡が有り、藪を漕ぐ箇所は全くなかった。
地図には西から順に黒沢峰、白倉峰、茂倉峰と三つのピークが並んでいるが、歩いて見るとそのピークの登り下りが足腰に堪えてくる。登り一本調子の金山にかかったときの方がむしろ楽だった。
基本的には樹林の中の道だが、ピークを越えるときに眺望が得られる。
ピークを一つ越えるごとに金山の尾根が大きくなり、雨飾山の尾根が小さくなって行く。
金山の山頂は、西は樹木の覆われていてなにも見えない。東に焼山のやや丸っこい三角形の山容が見える。ここでこの日最初の休憩を取った。
金山から鞍部に下る道も急勾配だ。斜面を斜めに横切っている箇所が多く、そうしたところは道が細くなっていて歩きにくい。季節外れのウサギギクやハクサンフウロウ、ヨツバシオガマ、ミヤマキンポウゲがあちこちに花を咲かせていた。秋の花のミヤマリンドウはまだ蕾が多い。
金山と焼山の間の稜線は一高一下をする道で、変化があって面白い。笹に覆われている尾根なので眺望が良く、それでいてオオシラビソが適度に生えているので、景観にアクセントがある。
焼山が大きくなり金山が小さくなる頃に、富士見峠に着く。
峠は広場となっていて、ビバークするならテントが張れるだろう。すぐ近くに雪田があり、補水が出来る。ただ、雪田はずいぶん小さくなっていて、9月一杯は持ちそうに無い。今年は積雪が多かったそうだから、例年なら8月の早い時期に雪田は消滅していただろう。
富士見峠から笹ヶ峰に下る道は刈り払いされていてはっきりしていたが、泊岩分岐から北に延びる笹倉温泉への道は草と笹が茂り放題に茂っていて手入れはされておらず、歩くのは相当な困難が予想される。
焼山の登山道は未整備で、雨水の流れた跡なのか登山道なのか不明な箇所も多い。赤ペンキのマーキングが頼りだった。
山頂に近づくと火口壁の岩場となる。垂直に近い岩場登りもあった。
焼山の山頂は馬の背の様な細い火口壁の上にある。降ろしたリュックサックが風であおられると、火口に落ちてしまいそうなくらいに狭い。
晴れていた空に雲がかかり日差しを遮ってしまった。同時に冷たい風が猛烈に吹き始める。風速は20m/s以上は確実だろう。気温は15℃なので、体感温度は氷点下だ。風を遮ってくれる岩の影で休憩を取る。
焼山からの下り道は強烈だ。
申し訳程度にジグザグを切ってはあるが、基本的には直線的に鞍部に下って行く。斜度は20度以上あるだろう。土に岩混じりの道なので良く滑って危険この上ない。スベリ方によっては10mくらいは滑降するだろう。
廻りの尾根を見ると樹木が茂っているが、登山道が通っている稜線には樹木は疎らにしか見られない。風の通り道なのか積雪の量が大きいのか、いずれにしてもこの稜線は樹木の育成に適していないらしい。
笹と低木に覆われた稜線の最鞍部は胴抜切戸と言うらしい。木製の指導標が草の中に立っていた。
影火打山に登り、鞍部に下ってから火打山に登る。
空は高曇りとなっていたが、何とか雨は降らずにここまで持ってくれた。ただし、風は増す増す強くなり、気温も低下してきたので、火打山の山頂での休憩は早々に切り上げなければならなかった。山頂からは妙高山が見られたはずだが、気候が過酷だったためか印象に無い。
妙高山から高谷池までの道は、半分くらいが木道、もしくは階段となっていたので、ここまでの道と大きく異なっている。登山道と言うよりはハイキングの道に感じる。
持ってくれていた天気だが、ここで堪えられなくなったらしく、横風混じりに驟雨となった。慌ててカッパを身につけるが、ずいぶんと濡れてしまった。
雨は10分ほどで止む。にわか雨にも思えなかったので、廻りを見ると雲の動きが速く、様子がおかしい。どうやら台風の影響による雨らしい。昨日、雨飾高原キャンプ場で話をしていたとき、南の海上に台風が発生しているという話が出たが、その台風から雨が前線に供給されているのだろうと想像をした。
高谷池ヒュッテで受付を済ませ、テントを張る。
水は池の水と言うことで煮沸が必要というのだが、虫の死骸の浮いている水なので、煮沸しても飲む気は起きない。携帯浄水器で濾過した水を今晩の分と明日の分の1.5Lを用意した。
高谷池ヒュッテの受付は気分の良い青年だ。日没後に山小屋に着くと、たとえテント泊でも嫌がられるのが普通なのだが、そうしたそぶりは全く感じられなかった。
先客のテントは一張りだけ有った。
山小屋に泊まっている4人グループと少し話をした。