地名 | 到達時刻 | 所要時間 | |
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大天井小屋 | 05時00分 | ||
燕山荘 | 07時09分 | 129分 | 2時間9分 |
燕岳 | 07時35分 | 26分 | 26分 |
中沢乗越 | 09時05分 | 90分 | 1時間30分 |
中房温泉バス停 | 11時21分 | 136分 | 2時間16分 |
一日の歩行時間 |
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6時間21分 |
日付:2013/09/13 |
大天井岳から燕岳の稜線の道は、古くから表銀座と呼んでいるらしい。戦前の登山の文章にも“銀座”の文字が見られる。北アルプスの中でも登山者が多く歩くのでこの名がつけられたらしい。
早朝、夜明け前、雨ではないが、西からの横殴りの風が霧を含んで吹いている。気温は10℃と暖かいのだが、風速が15m/s以上はあるので、体感温度は氷点下5℃以下だろう。防寒用に雨合羽を身につけて丁度良い温度となった。
相当に湿度は高い様で、雨合羽の表面が濡れて行く。
昨日来の深い霧で眺望は無いが、あちこちで蛙の様な雷鳥の鳴き声が聞こえる。ちょっと不気味だ。
大天井岳から鞍部に下って大下りの頭の登る頃に風が落ち着き、霧も晴れてきた。この辺りでようやく燕荘を早立ちした登山者とすれ違う様になった。
雲高は昨日と同じく標高2800m以上の様で、2762mの燕岳は山頂に多少の雲を引きずっているものの、ほぼ全容が見えた。
燕山荘から燕岳の道は、往復する登山者で混雑をしていた。
砂礫の上に花崗岩で出来た岩の塔が林立していると言った風の燕岳の山頂が正面に見えている。山頂を見ながら登るのは良いものだ。
燕岳の山頂は小さく、小人数で一杯となってしまう。この日も、10数名の老人のグループが占拠してしまっていて、容易に立てなかった。
燕岳の山頂は、頂を踏んだことで満足をして、北燕岳の山頂で景観は楽しんだ。こちらまで足を伸ばす登山者は少ないので、実に静かだ。
燕岳を中沢乗越に歩く登山者は殆ど居ないらしい。道も北燕岳までは良く整備されているが、そこから先は下草の刈り払いもされていなかった。
北燕岳からいったん下ってから上り返しがあるのだが、この辺りからお花畑が始まるらしい。秋と言うことで花の期待はしていなかった今回の山旅だが、この辺りは秋の花が満開だった。多く見られたのがミヤマアキノキリンソウの黄色い花とトリカブトの紫の花だった。ミヤマコゴメグサの群生や、オヤマリンドウもあちこちに花を咲かせている。驚いたのは、9月のチングルマの花をまとまって見られたことだ。この花は、普通、7月に咲く。
中沢乗越から標高1900m付近まで、強烈な坂道となる。ジグザグは切ってあるが気休めで、下ると5分でつま先が痛くなった。
急坂道を下りきると、こんどは沢底を標高1800m付近まで歩いて行く。日高山脈最高峰の幌尻岳の額平川の徒渉をよく似た雰囲気の道だが、こちらの方が水深は浅いので歩きやすい。もっとも、一雨あれば水位が上がって足を濡らさずの徒渉は出来ないだろう。
沢底歩きを終えると、オオシラビソやコメツガの樹林の中の平坦な道となる。手入れは最小限しか施されていない道の様で、ところどころでマーキングが見分けられなくなって、目をこらして道らしい踏み跡を探さねばならなかった。
ルートファインディングが出来ないと、ちょっと危険な道かもしれない。
中房温泉に着くと、そこは別世界で、合戦尾根の登山口には、燕岳から下りてきた登山者とこれから登る登山者が小綺麗な格好をして群れていた。合戦尾根の道は東沢登山道と違って靴など足元が泥だらけになる道では無いらしい。
乗り合いバスの出発時刻が12時35分。バス停に着いて、後は乗るだけとホッとして山旅を終えた。