10月の時の装備を車に積んであったので、11月に季節が変わったと言うことを気にもせずに出発しました。防寒具も無ければ、アイゼン、ピッケルなどもありません。結局、無くても登り下りは出来たのですが、防寒具と軽アイゼンは有った方が良かったと登りながら思いました。
11月なのでまだ車道は閉鎖されていませんが、午前7時前の大丸温泉を通過すると雪の吹きだまりが路上にあって、ノーマルタイヤでは先に進めません。車を邪魔にならない様に少し移動させてからチェーンを巻いたのですが、さて、このまま天候が悪化してしまうとFFの車にチェーンだけでは下ってこられないだろうと予想を立てて、引き返して大丸温泉の無料駐車場を利用しました。
実際は、天候は午前中の内に回復をしていて、路上の積雪は太陽の光と地熱で融けていました。もっとも、こう言うときに引き返す癖を付けておかないと、本当の決断を下すときに、まぁいいやで進んで痛い目を見ることがあります。山岳遭難の大半は、この決断と判断に原因があるとわたしは思っています。
大丸温泉から峠の茶屋まではパラパラと積雪がある程度でしたが、森林限界付近から上は岩の上や斜面がところどころが凍結しているので、足の置き場所を慎重に選ばなければ転倒します。
季節的にまだ全面凍結には早いので、山頂までアイゼン、ピッケルなしでもどうにか先に進めました。
理由は簡単で、Tシャツ、薄手の夏用の長袖シャツ、防寒能力をあるていどしか持っていないゴアテックスのカッパ。この三着だけの軽装で登ったからです。
風速1m/s増えるごとに体感温度は-1℃下がるので、気温が-5℃ではなく-10℃だったらためらいなく峰の茶屋避難小屋が見える前に引き返していたでしょう。
わたしは都合4年間、北海道に住んでいましたが、気温が氷点下20℃以下、風速20m/s以上、積雪50cm以上という暴風雪が毎冬一度か二度は訪れるので、今回の登山の荒天も北海道の冬の荒れた一日に比べれば驚くほどの事ではありませんでした。
また、一カ所だけですが凍った斜面を横切らねばならない箇所が有り、まだ誰も歩いていないのでステップも着られていません。わたしは、上記の理由でアイスバーンの上を歩くのにも慣れているので、なんとか越えられましたが、アイスバーンが不得手な人は、ここで引き返すかの判断を問われたでしょう。