伊那谷と木曽谷の間に屏風の様にそびえ立っているのが中央アルプスです。北は権兵衛峠(標高1523m)を北端として南端は越百山です。木曽殿乗越から木曽駒ヶ岳、将棋頭までを含みます。木曽駒ヶ岳は日本百名山の一座です。
空木岳から木曽殿乗越まで約1時間半かかります。木曽殿乗越は峠と言うよりは乗越という言葉が似合う鞍部です。木曽殿乗越を過ぎると東川岳の登りとなります。木曽殿乗越への下りは岩場の連続でクサリ場が数カ所あります。岩場歩きになれた方なら大したことの無いところですが、慣れていない方だと恐怖心が湧き起こるでしょう。左右が切り立った崖なので、高度感があり、登山者の恐怖心を引き起こすのに十分な岩場が続きます。木曽殿乗越には大きな山小屋があります。西側の谷を覗いてみると、奥二又沢の沢筋から木曽殿越まで急斜面であるものの、いやらしさがなくジグザグを切ればすんなりと登ってくることが出来そうです。東側の谷を覗いてみると、大田切沢の沢筋からの斜面も木曽殿越までは、登るのに難しい箇所はなさそうです。中央アルプスの横断ルートは北の権兵衛峠、南の大平峠が主と言われていますが、木曽殿乗越も利用されていたかもしれません。
木曽殿越の先が東川岳の急登です。神社の参道の階段を上るような斜面で、2671mまで登ります。東川岳から熊沢岳まではハイマツに覆われた岩稜の上を歩きます。一高一下しながらの道ですが、悪い箇所はありません。眺望がすばらしい尾根道で、左手に御岳から乗鞍岳、北アルプスの山並みを見て、右手には八ヶ岳、南アルプスの山並みを見て歩きます。熊沢岳の山頂には大きな岩があって、遠くからの目印になります。
熊沢岳を過ぎると岩場歩きとなります。岩場を手足を使って登っては下りながら進みます。岩と岩の間はハイマツですが、あまり整備はされていないようで、所々はハイマツの枝をかき分けないと先に進めません。標高2788mの檜尾岳(ひのきおだけ)の頂きも眺望は優れています。檜尾岳の東に伸びる稜線の上に、避難小屋が建っています。円形の赤い屋根のかわいい建物で、稜線の突起の上にあります。
檜尾岳のすぐ北に中央アルプスの縦走路の最低鞍部があります。コルを過ぎると島田娘までは登り坂です。登っている間、綺麗な円錐形の姿をした島田娘がつらい上り坂を慰めてくれるのですが、登ってしまうと小さなピークがいくつもあって、どれが島田娘なのかが分からなくなります。島田娘の登りは岩礫で、高山植物が多いようです。八月下旬には花の時期は終わっていて、花の散ったチョウノスケソウ、チングルマ、ハハコグサ、イワツメクサ、タカネツメクサなどの葉が見られます。島田娘から先はロープウェーで登って来た観光客やハイカーの世界となります。
千畳敷から登ってくる道の出合の極楽平の先にある三ノ沢岳の分岐から宝剣岳(標高2931m)の岩場が始ます。分岐から宝剣岳までの岩場はほぼ全区間にクサリ場が設けられています。それほどの難路では無く慣れた方ならクサリを使わずに登れるでしょう。宝剣岳の山頂は岩が重なり合った一点です。人が三人も立てば一杯となる程度の広さしかありません。宝剣岳から木曽駒ヶ岳への下り道も岩場の連続で、クサリ場が点在しています。
宝剣岳から中岳を越えて木曽駒ヶ岳へと登ります。中岳と駒ヶ岳のコルからの登りは楽なルートです。駒ヶ岳の山頂下には頂上山荘がありテント場も設けられています。山頂山荘から駒ヶ岳山頂まで15分くらいです。木曽駒ヶ岳の山頂からは、御岳が手を伸ばせば届くくらいの距離に見えます。膨大な山容は富士山に次ぐもので圧倒されます。北アルプスの乗鞍岳から穂高岳、槍岳に連なる連嶺は、斜めに見えるために、長さが詰まって見えるので、北岳や八ヶ岳から見る姿よりも引き締まっています。乗鞍岳と焼岳の鞍部に笠ヶ岳が浮かび、槍ヶ岳の手前には常念山脈が、後には後立山連峰が見えます。
木曽駒ヶ岳を北上すると将棋頭山に至ります。木曽駒ヶ岳から将棋頭山まではハイマツに覆われた岩尾根の道です。北と南の両アルプスを見ながら歩ける贅沢な道です。なだらかな曲線を描いて伸びている尾根道です。将棋頭山は西駒山荘の手前の分岐からすぐにあり、眺望が抜群です。駒ヶ岳よりもやや北東に位置しているので、北アルプスや乗鞍岳がより大きく見えます。駒ヶ岳からの姿よりも将棋頭山からの北アルプスの姿の方が良いかもしれません。目を北に転じると、妙高山、火打山、焼岳の頸城三山と高妻山などの飯縄連峰が見られます。眺望を楽しめる稜線歩きは西駒山荘の先の将棋ノ頭までで、ここを過ぎると樹林帯に入ります。
将棋頭山を下って行きます。将棋ノ頭に人工物が設置されているので西駒山荘からここまでは、わりとはっきりとした道が着けられているのですが、その先は踏み跡程度の道となります。道を見失ったり迷ったりするような悪い箇所は無いですが、時に背丈ほどもある笹藪をかき分けなければなりません。将棋ノ頭を下るとすぐに針葉樹とダケカンバの樹林帯に入ります。上の方は気候が厳しいので人の背丈ほどの矮樹の林です。辻山までは目印らしい箇所は何もなく、きつい傾斜の坂道をひたすら下ります。辻山から権現山までは笹藪漕ぎの連続で、道が笹に隠されている区間がほとんどです。権現山から土俵跡まではジグザグを切った下り道ですが、草は綺麗に刈り払われていて道も整備されています。土俵跡を過ぎると道の傾斜は多少緩やかとなり、歩きやすくなります。スキー場の上端の林道が登山口となります。登山口からは車道を歩き下島駅まで歩いて行けます。権現山から下島駅までは下りで2時間半から3時間程かかります。
ロープウェーを利用した人々が千畳敷から登って来て縦走路と出合うのが極楽平、宝剣岳の南から南西に派生していいる三沢岳に至る登山道が分岐して居るのが三の沢分岐です。
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