地名 | 到達時刻 | 所要時間 | |
---|---|---|---|
青年小屋 | 06時06分 | ||
権現岳 | 07時26分 | 80分 | 1時間20分 |
キレット小屋 | 08時51分 | 85分 | 1時間25分 |
赤岳 | 10時58分 | 127分 | 2時間7分 |
横岳 | 13時02分 | 124分 | 2時間4分 |
硫黄岳 | 14時36分 | 94分 | 1時間34分 |
夏沢峠 | 15時20分 | 44分 | 44分 |
根石山荘 | 16時22分 | 62分 | 1時間2分 |
東天狗岳 | 17時11分 | 49分 | 49分 |
黒百合ヒュッテ | 18時14分 | 63分 | 1時間3分 |
一日の歩行時間 |
---|
12時間8分 |
日付:2011/07/01 |
夜半に激しい風が吹きテントが吹き飛ばされるのではと心配しましたが、朝が明けてみると風は全く吹いていません。その代わり、標高2500m位に雲がかかっていて視界は全くありません。雨が降らないだけましなのですが、八ヶ岳を歩いて居て眺望が全く得られない問いのも寂しいものです。
乙女平から権現山まではちょっとした岩の道で、手を使う箇所は少なくほとんどは足だけで上り下りが出来ますが、岩場に不慣れな人が歩いた時、恐怖を感じるのには十分でしょう。短く中途半端な岩場ですが、クサリ場もあります。
乙女平からは急坂を登るとヤセ尾根に出ます。雲で視界がなかったのでどの様な尾根かはっきりとは分かりませんが、西側は崩落して崖となっていました。小石を投げ入れたのですが、カランカランと下の地面に落ちる音はしませんでしたから、そうとに高さのある崖のようです。除いてみましたが真っ白な霧しか見えませんでした。
痩せた岩の尾根にはハイマツが茂っているところもあれば、森林限界を超えてハイマツはなくなり、イワベンケイやハクサンイチゲ、イワヒゲなどの高山植物が花を咲かせている一帯もあります。
権現小屋が見えてくると、その先が権現岳の頂です。
岩の頂で狭く、周りの岩場を含めても10名とは人が座れないでしょう。
権現岳を過ぎると本格的な岩場の道となります。
ほとんどの箇所は足だけで歩けますが、ハシゴがあったり、クサリで登ったりする箇所もあります。
キレットから先は高山植物も多くなり、キレットには人が植えたコマクサの群生があります。岩場にはチョウノスケソウの白い花が目立ちます。
岩場の上が赤岳で、11時というのに人一人いません。前回来た時は人が多く喧噪で早々に立ち去ったのですが、今回はゆっくり出来ました。ただ雲が厚く眺望は何もありません。かろうじて山頂小屋が見えるだけで、近くの横岳も雲の中です。
赤岳の下りのミヤマノエンドウの紫の花が目立ちました。
横岳の登りにかかると、この日初めて登山者を見かけましたが、グループの一人は相当な初心者らしく、横岳の岩場で立ちすくんでしまっていました。横岳ですくむ様では助けようもありません。
横岳の岩稜にはキバナシャクナゲが目立ちました。
横岳と硫黄岳の鞍部にはコマクサの群生があると聞いていたのですが、登山道沿いでは無い様で、一輪も見られませんでした。硫黄岳山荘の東側の遊歩道で見られるのかもしれませんが、この日は黒百合ヒュッテまで足を伸ばしたかったので、時間の都合でカットです。
硫黄岳の登りにかかると巨大なケルンが点在しています。
最初、大げさと思っていたのですが、深い霧の中を登るにつれて、ケルンがないとだだっ広い硫黄岳では迷ってしまうことに気がつきました。
特に山頂付近はほとんど傾斜がなく、草もまばらにしか生えていないので踏み跡というのもありませんから、ケルン以外に目印がありません。
硫黄岳の東側に火口壁があります。壮大な火口壁で壁の上を歩いてみたのですが、規模は歩くことで体感できるものの、霧のために火口壁を見ることは出来ませんでした。
これほど峠らしい地形と言うのも珍しいかも知れません。南北の山が切れ落ちていて、人工的に削った最鞍部に道が通っている様にも見えます。それだけに硫黄岳からの下りは急で長くきついものです。
青年小屋の管理人に聞いた話では、明治から昭和の初期にかけて、八ヶ岳を横断する道が整備される前の時代、この夏沢峠が山麓の住民に実際に使われていたそうです。荷物を載せたり引かせたりして馬も通ったと言うことでした。今は登山道が細々と通っているだけですが、当時は馬が歩けるくらいのしっかりとした道だったようです。
夏沢峠には2軒の山小屋がありますが、シーズンオフと言うことで2軒とも閉まっていました。この峠で話をした人たちは、皆、西に降って夏沢ヒュッテに泊まると言っていました。
夏沢峠から先が北八ッと呼ばれる山域です。
本来は八ヶ岳に対して北の山域なので北八ッと呼ばれていたのですが、現代では南八ヶ岳と北八ヶ岳と呼ばれることがほとんどの様です。それなのに、単に八ヶ岳と呼ぶ時は、夏草峠から北の山域が含まれることは希の様に思えます。八ヶ岳の山域を北に広げたとしても国道の通る麦草峠辺りが上限でしょう。
硫黄岳の壮絶な火口壁を見てから夏沢峠を越えて北に歩くと、その雰囲気がまるで違うことに驚かされます。
権現岳を越えてからは、ほとんどが森林限界を越えている稜線歩きで、岩と高山植物とハイマツの中を歩いていたのですが、北八ッは樹木が鬱蒼と茂っています。
森林限界の上の道はわずかに根石岳や天狗岳の山頂とその周辺にあるだけです。
午後5時過ぎに着いた天狗岳の山頂でさすがにあごを出したのですが、幸い、すぐに黒百合ヒュッテに着いたので体力気力が尽きずに済みました。
黒百合ヒュッテは雰囲気の良い山小屋で、休憩が250円、お茶付き休憩が300円。日中に立ち寄る機会があれば、立ち寄りたいと思わせます。
八ヶ岳の山小屋のトイレはどこも清潔を保っているのですが、ここのトイレは特に綺麗でした。