地名 | 到達時刻 | 所要時間 | |
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徳本峠 | 05時10分 | ||
大滝槍見台 | 07時26分 | 136分 | 2時間16分 |
大滝山荘 | 10時51分 | 205分 | 3時間25分 |
蝶ヶ岳ヒュッテ | 12時39分 | 108分 | 1時間48分 |
常念岳 | 17時45分 | 306分 | 5時間6分 |
常念乗越 | 18時43分 | 58分 | 58分 |
一日の歩行時間 |
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13時間33分 |
日付:2011/09/08 |
午前4時過ぎから徳本峠を出立する登山者のグループが出てきます。まだ真っ暗で空は白んでもいません。そんなに急いで何処に行くのだろうと考えていたのですが、どうやら霞沢岳に上ったようです。徳本峠から蝶ヶ岳を目指すルートは人気の無い様です。
この日は、出来れば常念乗越まで歩きたかったので、暗いうちから準備を始めて、日の出前の出立となりました。午前5時10分です。
空は白んできたのですが、樹林の中を歩くので明るいのか暗いのかはっきりしません。懐中電灯をつけても明るく感じないところを見ると、それなりの光量が指している様なのですが、カメラを構えて撮影をしても光量が足りなくて写せません。こんな状況が一時間ほどありました。
徳本峠や稜線から見る穂高連峰の姿を期待していたのですが、樹木でほとんど見ることが出来ません。樹林帯の道を歩くのは嫌いではないのですが、なまじい「徳本峠から見る上高地越しの穂高連峰の姿は日本で最も優れた山岳景観」などと聞いていたので、期待が外れてしまっていたので、樹林が鬱陶しく感じられます。
ほとんど眺望の得られない道ですが、大滝槍見台という丸太を組み上げた展望台があり、ここから何とか穂高岳と槍ヶ岳の頂は見ることが出来ました。もっとも周りの樹木が展望台を作った頃よりも背丈が伸びている様で、写真を撮ろうとすると木の枝が邪魔で構図の邪魔をします。
視界も穂高の方角に限られているので、芳しくありません。休憩もかねて10分ほどで先に進みました。
当初の予定の一つに、徳本峠から霞沢岳に登り、徳本峠に戻ってからその日のうちに大滝山荘まで足を伸ばそうというものがあったのですが、徳本峠で確認をしたら8月下旬で閉めてしまったと言うことでした。ずいぶん早いと思ったのですが、ここの道を歩いていても人の気配が無く、最盛期の7月8月を過ぎると採算が取れないだろうと言うことが分かります。
山荘の閉まった扉には、やや古びた文字で「熊出没、注意」と書かれていました。過去にツキノワグマが目撃されたことがあるのでしょう。
思い出しましたが、昨年の8月、光岳の周辺にツキノワグマが出没していて、登山者にちょっとしたパニックをもたらしていました。スタンガンを持っていた人が、いつでも取り出せる様に腰のスタンガンに手を掛けていたのが印象的でした。
大滝山から眺望が得られます。昨日の谷歩きからほとんど眺望が見られなかったので、視界が開けると心も広々としてきます。
大滝山からは蝶ヶ岳の稜線が邪魔をして、穂高の山頂部は見えるものの、中腹から下は見えません。
その代わり、大滝山から蝶ヶ岳へ伸びる美しい稜線が見えます。
徳本峠から大滝山まで一人の登山者に追い越されただけで、他に人を見なかったのですが、蝶ヶ岳に出ると、人でごった返しています。喧噪の山は苦手なので、休憩は取らずに先を急ぐことにしました。持参の水の量が心配だったのですが、途中に池がある様なので、水が心細くなったらその池の水を浄化器で濾過して飲めるだろうと思い直しました。
さすがに人気の高い蝶ヶ岳-常念岳のルートだけにどこまで行っても人がいます。蝶ヶ岳の連なりの北の端のピークで人がいなくなったのでやっと休憩を取ることが出来ました。喧噪が嫌いなくせに北アルプスを歩くと余計な苦労をするものです。
蝶ヶ岳は北穂高岳を真横から見られる位置にあるようです。
ここから見ている穂高岳の山頂は岩ののこぎりの様で、とても人が歩けるとは思えません。昨年、西穂-奥穂-北穂-槍を歩いていなければ、縦走路があると言われても信じなかったかも知れないです。
蝶ヶ岳の北の端のピークからは常念岳も見られますが、目測で4、5時間はかかりそうにみえました(実際には約4時間)。常念岳の登りも大変そうですが、地図を見ると手前に3つのピークがあり、3つとも頂を登っては降るので、これはやっかいだと感じました。
ピークのどれかを歩いている時に池があったので、浄水器に汲んで濾過しました。標高が高く気温が低いために朽ちて池に沈殿した植物が微生物に分解されない様で、植物の色素が水ににじみ出していました。この色は濾過できない様で(おそらくタンニン)、濾過した水は赤茶けた色をしていましたが、飲んでみると大変に美味しいです。500ccほど濾過してペットボトルに詰めます。
3つのピークは、真ん中が低く、北と南のピークはやや高く2500mを越えています。
3つめのピークの登り下りで1日の疲れが出てしまい、常念岳の尾根に取り付いたところで力尽きてしまいました。
幸運だったのは、ここから山頂直下まで岩場で、脚だけでは歩けない道だったことです。手も使うので疲れた足をかばうことが出来ました。
手足を使って登るので、とても楽です。また、歩き続けているとランニングハイに近い状態になる事があるのですが、このときそうなったおかげで、常念岳まで休み無く登る事が出来ました。
常念岳の山頂に着いたのは日没の直前。太陽が槍ヶ岳のすぐ上に輝いていました。
東を見てみると、盆地に常念岳の三角形の影が映っています。影常念です。長い時間を歩いてきたご褒美としては最高でしょう。影常念は東側で見られますが、西側は上高地の谷なので見ることは出来ません。つまり夕方のみなのです。
夕暮れの常念岳の頂からの眺望は見事でしたが、残照のあるうちに常念乗越まで降ってしまいたいと思い、休憩は取らずに先を急ぎます。
山頂を越えて乗越側にでると、ニホンザルの群れが高山植物の花や芽をたべていました。それほど人慣れしていないサルらしく、カメラを向けたサルは鉄砲と思ったのか岩陰に隠れてしまいました。
降る途中で日は暮れ、槍ヶ岳の上の雲を赤く染めています。
残照があるうちにと気持ちは急くのですが疲れた足は思うとおりには進まないものです。小屋から漏れる電灯の明かりで何とかたどり着きました。