第2日目 草薙コース-小太郎山-北岳-間ノ岳-三峰岳-熊ノ平小屋

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行程

地名到達時刻所要時間
白根御池小屋05時16分
小太郎尾根の分岐07時29分133分2時間13分
小太郎山08時45分76分1時間16分
小太郎尾根の分岐10時01分76分1時間16分
北岳10時57分56分56分
北岳(休憩)11時29分32分32分
間ノ岳14時34分185分3時間5分
三峰岳15時29分55分55分
熊ノ平小屋16時52分83分1時間23分
一日の歩行時間
11時間36分
日付:2012/08/16

山行記

小太郎山

白根御池小屋から草薙コースで小太郎尾根に登ります。
広河原から北岳に上るコースは左俣、右俣、草薙の3つのコースがありますが、いずれも休憩舎の斜面を登る厳しい道です。草薙コースは小太郎尾根に達する直前に右俣コースと合流します。
この道は花が多く見られる道で、高山植物の花に夢中になっていると、登るのを忘れてしまいます。

熊ノ平小屋まで歩けば済むので、朝の出発はのんびりしています。気合いを入れて歩くと昼過ぎに着いてしまう距離なので、草薙の登り道に咲いている高山植物の花を見ながらのんびりと登って行きます。

天気は晴れていて、青空が見えます。
小太郎尾根に登り着くと、久しぶりに仙丈ヶ岳や甲斐駒ヶ岳の姿が見られました。
早着してもすることがないので、小太郎山を往復して時間をつぶすことにしました。

小太郎山は、北岳から北に延びる小太郎尾根の先端の小突起です。
山と言うほどの高さはありませんが、視界を遮るものが何もないので、眺望がとても良いところです。
位置が、仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、鳳凰山、北岳に囲まれたところにあるので、どの山も手が届きそうなくらいに見晴らせます。
岩の尾根道には、ミヤマコゴメグサやシラネヒゴダイやタカネツメクサが競って花を咲かせていました。

小太郎山から尾根の分岐に戻ると、肩ノ小屋は過ぐです。
昼前というのに、肩ノ小屋には多くの登山者がいます。休憩を取っているのか、すでに泊まる予定なのかは分かりません。

北岳

花の北岳ですが、7月には満開だったハクサンイチゲの白い花はほとんど見られなくなっていて、灰色の岩肌が寂しげでした。もちろん、北岳草ももう花は散っています。

南に間ノ岳の大きな姿が横たわり、聖岳や赤石岳の姿を隠しています。わずかに間ノ岳の右の肩ノ上に、塩見岳の黒々とした山頂部が顔を覗かせています。
西に典雅な仙丈ヶ岳が二つのカールを見せた姿があります。北に甲斐駒ヶ岳の白っぽい三角錐の頂があり、東には鳳凰山の長い山頂があります。
ここから見る富士山は、左右の均整がとれていて、もっとも美しい富士の姿の一つと言われています。

北岳から間ノ岳の稜線を下って行くと、前峰の中白根岳に間ノ岳の姿が隠れて行き、北岳山荘の辺りからは間ノ岳の姿が見られなくなります。
北岳山荘には、多くの登山者がいました。これから北岳を往復するのか準備体操をしているグループ、広河原から登って来て今日はもう歩かないらしいリラックスをしているグループなどです。

間ノ岳と三峰岳

地図を見ると間ノ岳と三峰岳の二座が描かれているのですが、北岳や間ノ岳に登ったときに三峰岳を見た記憶がありません。
今回、間ノ岳から三峰岳までの稜線を歩くので、三峰岳を意識していました。

北岳から間ノ岳までの稜線はのびのびとした気持ちの良い尾根道で、晴れていたこの日はすばらしい景観も楽しむことが出来ました。
多少の登りは中白根岳までで、北岳山荘から中白根岳に登ってしまえば、後は間ノ岳まで緩やかな上り坂があるだけです。

中白根岳を越えて間ノ岳の山頂まで10分ほどの距離のところで、雷鳥の親子連れに出会いました。北アでも南アでも雷鳥は人を恐れません。人が雷鳥に危害を加えないと言うことを知っているからでしょう。
昨年までは、親の雷鳥がつれている雛鳥の数は1羽か2羽だったのですが、今年はどこに行っても3羽連れを見かけます。この日も雛鳥の数は3羽でした。すでに晩夏で、雛鳥は親鳥の身体の2/3ほどに成長しています。羽毛も産毛ではなく、親鳥と同じ色をしているので、遠目には親鳥と雛鳥の区別が付きにくくなっています。
愛嬌なのは、大きく親鳥と同じ羽毛の雛鳥が、鳴き声だけは「ピヨピヨ」と鳴くことです。親鳥は雛鳥がはぐれないように「コォーコココォーココ」と小さく鳴いています。

間ノ岳に達した頃には雲が湧いてきて、南に見えるはずの塩見岳も北に見えるはずの北岳もすべて隠してしまっていました。三峰岳も見えません。
わずかに稜線の先に農鳥岳が見えるだけです。

間ノ岳で少しだけ休憩を取ってから三峰岳に向かいます。
岩場のヤセ尾根で、北岳間ノ岳の稜線の楽な道を歩いてきたので、ちょっと驚きました。危険を感じるほどの岩稜では無かったものの、足だけで登り下るのはまず無理で、手足を使って登り下りします。といって、三点姿勢の確保をするほどのことはありません。

3198mの間ノ岳から2999mの三峰岳に向かうのですから、標高差約200mはほとんどが下りです。わずかに、三峰岳の山頂直下で20mほど登るだけです。
これで分かったのですが、北岳など他の山から三峰岳を見ると、三峰岳は間ノ岳から派生した稜線上の一突起にしか見えないので、印象にはほとんど残らないのです。

熊ノ平小屋

三峰岳にはビデオ撮影のクルー4人がビデオカメラを持って待機していました。夕暮れなどの自然を撮影するには天候が向いていないと思っていたら、後で、山岳耐久レースの取材と言うことを知りました。

このクルーはこの後も、三伏小屋そのほかで見かけています。小屋泊まりのようなので登山用の荷物は少ないようですが、重い業務用カメラとそのバッテリーを何台も担いで歩くのは大変そうです。

三峰岳から熊ノ平小屋に向かうと、最初、岩稜の下りが待っています。熊ノ平小屋の標高が2600m位なので、300mほど下るわけです。
岩稜を終えても急坂道は続き、広い尾根にジグザグに切られた道を降ります。

そろそろ、下り道に飽きてきた頃に、雲の切れ間から赤い屋根の熊ノ平小屋が見えてきます。
ダケカンバの大木がまばらに生え、下草にはマルバダケブキが大きく黄色い花を咲かせています。
この辺りは、マルバダケブキ(丸葉岳蕗)の大群生のようで、斜面数100mが黄色い花で埋め尽くされていました。

熊ノ平小屋は奥深いところにあるので、避難小屋に毛が生えたような山小屋を想像していたのですが、たどり着いてみるとなかなか立派です。管理人も山深い小屋にありがちな偏屈な人ではありませんでした。
小屋の前に展望用のテラスが設けられていて、農鳥岳の大きな姿を一望できます。

トイレは綺麗に清掃されていて、黄ばみがありません。嬉しいことに、トイレの出入り口に手洗い用の水が引かれています。
気のせいか、くみ取り式のトイレ特有の臭いも薄いようです。

テント場は、小屋の下に点在しています。
斜面の平坦地に、こちらに5張り、あちらに2張り、と言うように、散在しています。わたしがテントを張った時刻は遅かったので、テント場はあらかた埋まっていて、下の下の端の方にようやく一張り分のスペースを見つけられました。

地図

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