第3日目 塩見岳-三伏峠小屋

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行程

地名到達時刻所要時間
熊ノ平小屋04時38分
北荒川岳07時25分167分2時間47分
塩見岳(西峰)10時08分163分2時間43分
塩見岳(休憩)10時18分10分10分
塩見小屋11時08分50分50分
塩見小屋(休憩)11時21分13分13分
本谷山12時53分92分1時間32分
本谷山(雨宿り)13時28分35分35分
三伏峠小屋14時32分64分1時間4分
一日の歩行時間
9時間54分
日付:2012/08/17

山行記

北荒川岳

熊ノ平小屋を日の出前に発って三伏峠小屋を目指しました。
昼過ぎから激しい夕立が夜半まで降り続いたのですが、出発が早かったので、本降りとなった午後三時前に三伏峠小屋に着くことが出来ました。

3046mの塩見岳を越えて三伏峠まで行き、なおかつ三伏峠のテント場から往復30分ほどかけて水場まで水を汲みに行かなければならないので、この日の行動時間を12時間と予想を立てて、日の出前に早立ちをしました。

熊ノ平小屋から北荒川岳までの道は樹林の中を歩くので、眺望がありません。わずかに岩峰の上から周囲の山を見られる程度です。
樹相はダケカンバに針葉樹の混合林で、幹の太い木はあまり見あたりません。木々の数はとても多いのですが、樹林の下は意外に明るく、「鬱蒼とした」と言う雰囲気ではありません。

東に見える、西農鳥岳と農鳥岳の鞍部に浮かぶ雲に朝日が当たって濃いピンク色に染まっています。
日の出が見られるかと期待していたのですが、樹林の中を歩いている内に、日は高く昇っていました。

樹林からひょっこりと禿げた尾根の頭の上に出ると、それが北荒川岳でした。
北荒川岳から森林限界の上を歩くことになります。

塩見岳

北荒川岳は塩見岳から伸びてきている尾根の上の小突起ですが、眺望のすこぶる良いところで、特に塩見岳の大きな姿が良いです。
まだ、南ア特有の雲が湧く前の時間なので、西に木曽山脈、その先に乗鞍岳と穂高連峰も一望できます。北に目を転じると、昨日歩いて来た間ノ岳から三峰岳の稜線や、その背後に仙丈ヶ岳も見られます。
この後、曇ってしまったので、景観の見納めとなりました。

北荒川岳からの稜線歩きは高山植物の花を多く見られる道で、タカネビランジとイブキジャコウソウ(伊吹麝香草)のピンクの花が群生を作って目立っていました。
稜線を少し降りて旧北荒川岳キャンプ場を通り過ぎると、ダケカンバとマルバダケブキの一体となり、ここでは黄色い花が満開です。

ダケカンバの樹林を抜けると塩見岳の尾根の登り道となります。
下の方はなだらかですが、山頂に近づくにつれ傾斜がきつくなり、最大斜度は30度はありそうに見えます。ジグザグに登るのなら体力は消耗しても楽ですが、直登するように登山道がもうけられていたらしんどい道と思っていたら、その通りで、斜面を直登する道でした。

取り付きは楽だったものの、だんだん傾斜がきつくなって行き、しかも足下が岩ではなく土の道なので、登りで少し踏ん張るとすぐに滑ってしまいます。大雪山の旭岳や男体山など火山の砂礫道を上るのに似た感覚です。
登るのもつらかったですが、下りは滑りを押さえなければならないので、危険を伴うだろうと思います。

稜線を登り切ると、蝙蝠岳からの尾根道の分岐がすぐにあります。北俣岳の岩峰と、尾根の上になだらかな円錐形の頂を持つ蝙蝠岳の組み合わせは実に魅力的です。機会を見つけて歩きたくなる尾根道です。

北俣岳の分岐から塩見岳の山頂までは、急傾斜の稜線歩きを終えて気が抜けたらしく長く感じました。岩の頂が東峰で平たい頂が西峰です。東峰は人が混んでいたので西峰で多少の休憩を取りました。

天候は高曇りですが、谷から雲が湧いてきていて、先ほどまで見えていた蝙蝠岳も雲に隠れたり出てきたりしています。
遠くの山はもはや見えず、間ノ岳も見えません。

本谷山

塩見岳の西の尾根は岩稜で、歩きやすい道ではありません。
三伏峠小屋や塩見小屋に荷物を置いて往復するのであれば、それほどの難路では無いのですが、北や南から塩見岳を越える縦走の登山者にはちょっと堪える道です。
塩見岳は日本百名山の一座なので人気が高く、初心者も多く登っていることを考えると、この岩稜にクサリ場が一カ所もないのが不思議な気がします。
塩見小屋から見た塩見岳は山と言うよりも岩の固まりでした。

塩見小屋の前後からハイマツ帯となり、岩稜歩きが終わります。
塩見新道の分岐までは旧坂道ですが、分岐を過ぎると勾配はほとんど無くなり、樹林の中の歩きやすい道となります。
塩見新道は自然災害のために閉鎖されていました。

本谷山までの樹林の道も面白い道で、日差しが差し込んでいるので暗さがありません。
点点と立ち枯れの木が見られ、時に数十本の立ち枯れの木が固まっています。木の枯れているところは見晴らしが利くのですが、雲が降りてきてしまって山を覆っていて何も見えません。
わずかな登りで本谷山に着きます。

本谷山の標識の脇にザックを下ろしたとたんに雨粒が落ちてきました。
まず傘をさして、足下をぬらさないようにスパッツを身につけていると、本降りとなってきました。幸い、雷の音はしません。

通り雨なので20、30分も待てば止むか小降りになるだろうと思い、傘の下で休んでいました。本谷山に早く着いたことで時間に余裕があったのが幸いしました。

後から本谷山に登ってくる登山者が2組いましたが、雨具を着けるとさっさと三伏峠に下って行きます。

予想どおり、30分ほどで雨は上がりました。
三伏峠に下ります。

三伏峠

本谷山から三伏峠までは下り道ですが、少し急な勾配のところがあります。
高山植物の花が多く見られる道で、マルバダケブキ、トモエシオガマ、タカネニガナなどが花を咲かせています。マツムシソウとホソバトリカブトの紫の花を見たときには、夏も終わり秋が来たと実感しました。

旧三伏小屋の道の分岐から少し登りとなって、三伏山を越えます。ここから三伏峠小屋が見渡せます。

三伏峠小屋はテント場の上にあって、二棟の建物があります。新館と旧館らしく、どちらも夕方には宿泊客で満杯となっていました。

三伏山の辺りから雨がまた降ってきたのですが、テントを張り終えて靴を脱ぎにかかったときに土砂降りとなりました。
間一髪です。

雨の降りっぷりはすさまじく、滝のようです。
水汲みに往復30分かかるのですが、この雨ではとても行けそうにありません。
水の残量を確認してみると、1.5L以上残っていました。今日一日12時間の歩行を予定していて3Lの水を背負っていたのですが、思ったよりも早く三伏峠に着いたことと、昼前から天候が曇りとなったために水の消費が抑えられたために、残ったのでした。

1.5Lの残量の水というのは、出発の時の計画が甘かったと言うことなのですが、この天候で水汲みに行けない以上は、天佑に近いものです。
こんばん一晩は楽に持つので、水を気にしなくても済みました。

雨の勢いは衰えず、午後8時を過ぎても土砂降りは続いていました。
テントを張るとき、時間が早かったおかげで、テント場には空きが多く、水はけの良い場所を選ぶことが出来たので、雨の心配をする必要はありません。
雨の音を聞きながらいつの間にか寝につきました。

地図

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