地名 | 到達時刻 | 所要時間 | |
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兎岳避難小屋 | 03時39分 | ||
聖岳 | 05時31分 | 112分 | 1時間52分 |
聖岳(奥聖岳往復) | 06時16分 | 45分 | 45分 |
上河内岳分岐 | 10時01分 | 225分 | 3時間45分 |
上河内岳分岐(上河内岳往復) | 10時19分 | 18分 | 18分 |
仁田岳分岐 | 12時08分 | 109分 | 1時間49分 |
仁田岳分岐(仁田岳往復) | 12時36分 | 28分 | 28分 |
易老岳 | 13時55分 | 79分 | 1時間19分 |
光岳小屋 | 16時28分 | 153分 | 2時間33分 |
光岳往復(光石) | 17時41分 | 73分 | 1時間13分 |
一日の歩行時間 |
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14時間2分 |
日付:2012/08/20 |
兎岳避難小屋から聖岳を越えて、光岳小屋までを歩きます。
途中に派出している尾根の上のピークをすべて歩くので、日の出前の出発となりました。
兎岳避難小屋から光岳小屋まで歩くと、12時間以上かかります。日が暮れてから歩くのもいやなので、日の出前に出発をして、日没前に光岳小屋に着くようにしました。
やっかいなのが兎岳と聖岳の間の鞍部で、岩稜です。
高輝度LEDのヘッドライトは大変に明るいので、一般的な尾根歩きなら十分なのですが、岩稜ではそうも行きません。岩に描かれている赤ペンキのマーキングを見落とさないように、視線を配ります。幸い、道を迷うことはありませんでしたが、見落とした岩に左足の向こうすねを強打して、出血をしてしまいました。びっこを引くような痛みでなかったのが幸いです。
聖岳の肩に掛かる頃に朝焼けが始まりました。秩父山脈と思われる遠くの山並みの上がオレンジ色に染まって行きます。ヘッドライト無しでも歩けるくらいに明るくなったのは四時半頃で、聖岳の肩に掛かっていました。
五時半に聖岳の山頂に着くと、西の雲海の上に聖岳が影を落としています。「影聖」です。
影富士や影鳥海は有名ですが、常念岳や聖岳でも山の影を落とす姿が見られます。早朝、もしくは夕方に登る登山者だけが味わえる妙味でしょう。
予定よりも早く、2時間かからなかったので、奥聖岳を往復します。
赤石岳を見るには、聖岳よりも、奥聖岳からの方がふさわしいのです。最初に聖岳に登ったときは、山岳眺望にまったく詳しくなく、正面に見える赤石岳の名前もわからず、「根張りのどっしりとした美しい山だ」と見とれていました。
聖岳から東に派生している尾根の先頭が奥聖岳と名付けられていますが、この先から椹島まで踏み跡程度ですが、道があるそうです。山と高原の地図には「冬期ルート」と書かれていますが、夏でも歩ける道で、岩場などの危険箇所は無いそうです。ただ、踏み跡すらないような区間もあるので、ルートファインディングに自信のない人は歩かない方が良いだろうという話を、実際に登って来た人から聞きました。
聖岳から聖平までの下り道は急坂で、砂礫で足の踏ん張りのかけにくい路面です。
ジグザグを切った聖から小聖までがとくに厳しいでしょう。
聖平小屋を発って来た登山者と、この辺りですれ違います。
登りが優先なので、通り過ぎるのを待つのですが、30名以上の大きなグループとすれ違ったときは、グループの人たちの足が遅いこともあって、10分以上も待たされたのには驚きました。15分くらい待ったかもしれません。これだけの大人数なのに、引率者と思えるのは先頭を歩いている人だけのようで、人ごとながら心配になってきました。
聖平で休憩を取った後、上河内岳の登ります。
前峰に当たる南岳の登りがなかなか手強く、体力を消耗します。それでも樹林帯を抜け、視界の開けるハイマツ帯にかかると、眺望が得られるので歩くのが楽しみになるから、人間は現金なものです。
南岳から上河内岳の区間は、ちょっとした鞍部の後に急登があるのですが、一気に登り切ってしまいました。
上河内岳は、登山道から少しは慣れたところに頂があって、往復します。南アでは聖岳以南の最高峰です。眺望は良いのですが、聖岳とあまり距離が離れていないので、大きな変化はありません。この山からの見物は、やはり聖岳でしょう。
上河内岳から下ると、樹林と湿地の尾根道となります。これは茶臼岳から光岳までの区間もどうようなのですが、上河内岳から茶臼岳までの区間の方が標高が高い分だけ樹林の発達が抑えられているようで、景観はすっきりとしています。
鞍部の左右には、尾根がそびえていて、ハイマツが覆っています。ホシガラスが大変に多く済んでいて、頭上を数羽で飛び交っています。多少、人を警戒しているらしく近づいて来ません。
茶臼山の頂は岩峰で、大人数の休憩は出来ません。
南にイザルヶ岳と光岳の頂がひとかたまりとなって見えます。
茶臼岳を下ると、仁田池があり、その先に仁田岳が派生する尾根の分岐があります。
仁田岳は主稜線から東に派生した尾根なので、南アの主稜線の峰峰を眺望するのには良い位置を占めているはずなのですが、ガスがかかっていて何も見えませんでした。
当日は5名の登山者とすれ違ったのですが、普段は登る人の少ない山の様で、登山道の大半はハイマツに覆われていて、ハイマツを漕がないと前に進めません。
仁田岳の分岐を過ぎると、一度深く下ります。
下りきると本格的な樹林帯となり、湿地が点在していますが、木道が整備されているので、足を取られることはありません。
易老岳は、茶臼岳から南下してくる時は小突起で、わずかに登ると頂です。
樹林の中の頂で、分岐とピークの三角点は10mほど離れていますから、分岐を通るときに、ピークを見落とす人は多いでしょう。わたしも前回は、ピークを見た記憶がありません。
易老岳を過ぎると、だらだらとした下り道で、易老岳と光岳の鞍部まで下ります。途中、湿地が点在していて、ここには木道はなく、油断をしていると足を取られます。
下りきると、一転して石がごろごろした沢のような急坂道を登ります。いつまでかかっての終わらない登り道で、そろそろあごが出てくる頃に、漸く青い空が先に見えてきます。
イザルヶ岳の広々とした頂を往復してから、光岳小屋で受付を済ませます。
ここで、易老渡に下っても、下栗まで抜ける林道が自然災害で通れないと言うことを知りました。茶臼小屋を下って草薙ダムに降りれば、白樺荘まで歩くと、そこからは路線バスが出ているので大井川鉄道か静岡駅行きのバスか、交通手段があるだろうという話です。光岳小屋は長野県の県営の小屋なので、静岡県側の情報はあまり入ってこない様です。
テント場は1張り1人400円と他の山小屋よりも割安です。
水は、付近の水場が全て涸れているので、無料で分けてもらえました。
トイレも清潔です。
テント場も、岩や石は取り除かれていて、ならされた地面に張れます。雨水がテントを流さないように、テント場の周りに排水溝が掘られています。
実に居心地の良いテント場です。
小屋の中も清潔だったので、小屋泊まりでも快適でしょう。
テントを張り終えてから、光岳と光石に向かいます。
光岳の山頂は一登りでつきましたが、樹林の中の頂で、眺望はありません。10mほど先に旧御料局の三角点があり、ちょっとした展望台となっています。
光石は山頂からずいぶんと下ったところにあります。
南アの登山道らしからぬ、土と木の根の多い道で、奥多摩辺りの標高の低い道と雰囲気がよく似ています。
光石の下りの間に加加森山や池口山への道の分岐があります。
光石は縦横に割れ目の入った巨岩で、上に登ることが出来ます。予想の通りに淡い灰色の石でしたが、予想と違っていたのは、細かいひびの入っていることでした。これが「てかり」と光るとは思えません。
光石からテント場に戻り、ひと休憩すると、日が暮れ始め増した。