地名 | 到達時刻 | 所要時間 | |
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湯本温泉の無料駐車場 | 08時24分 | ||
国境平分岐 | 10時24分 | 120分 | 2時間 |
弥陀ヶ池分岐 | 11時43分 | 79分 | 1時間19分 |
白根山 | 12時39分 | 56分 | 56分 |
白根山(休憩) | 13時01分 | 22分 | 22分 |
前白根山 | 14時26分 | 85分 | 1時間25分 |
湯本温泉の無料駐車場 | 16時32分 | 126分 | 2時間6分 |
一日の歩行時間 |
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8時間8分 |
日付:2014/06/15 |
歩き始めが午前8時半と遅くなってしまったが、この山域は昨年も歩いている勝手を知っていて、おおよその所要時間を把握しているので、余裕を持った山歩きが出来ることは分かっていた。
気になるのは夕立だが、こればかりは事前には分からない。
湯本温泉の無料駐車場から歩き出して中ツ曽根の登山道にかかる。昨年歩いた天狗平の尾根の取り付き道は、大変に荒れていて、登りの時にすれ違った登山グループが異口同音に「大変な道だ」と半ば嬉しそうに言っていたので、閉口して白根山に延びている中ツ曽根の登山道は良く整備されていて歩きやすいのでは無いかと予想を立てて登る事にした。
中ツ曽根の稜線に出るまでは急勾配の坂道ではあるものの、天狗平の取り付き道に比べれば難易度は低い。ただ、笹や下草の刈り払いを行っていないために、ところどころ道を見失うほどに歩きにくくなっていた。
連日の雨で登山道はあちこちで泥道となってしまっていて、これに足を取られたりして歩きにくい。
中ツ曽根の尾根の上に出ると、疎らにダケカンバが生えているだけで、以外に視界が広い。左手に天狗平から前白根山の尾根があり、その向こうには湯の湖や男体山が見られる。正面には雪を残した五色山から前白根山の稜線が見える。
天気は晴れで青空が広がり、僅かに雲が浮かんでいる。
中ツ曽根尾根はなだらかな上り勾配の道で、国境平の出合まで楽に歩くことが出来た。国境平の周辺は雪の吹きだまりらしく、北に面して日も当たらないからたっぷりを残雪を残していた。
気温が高いので雪がぐずぐずに崩れていたから軽アイゼンなしでも歩けたが、6月一杯は用心のために、白根山を歩くときは軽アイゼンは持参した方が良さそうだ。
五色山、前白根山、白根山に囲まれた底に五色沼がある。以前に歩いた時に見た印象ではカルデラ湖だろうと思っていたのだが、今回よく見てみると、五色山、前白根山、白根山の稜線は噴火によって陥没をしたカルデラでは無い様で、と言うことは五色沼もカルデラ湖ではなさそうだ。
五色山から弥陀ヶ池に緩やかな尾根を下って行き、鞍部の野原から白根山を見上げると、山頂が溶岩ドームであることがよく分かる。五色山や前白根山から見るよりも、山頂の溶岩の襞がはっきりと分かる。
野原を過ぎると弥陀ヶ池で、格好の休憩ポイントとなっている。先着の一組が休んでいた。
弥陀ヶ池の辺りはやや複雑な分岐がいくつかあって、表示板をしっかり確認しないと思うとおりの場所へ行くことが出来ない。2つある分岐が300mほど離れているのも分かりにくい原因の一つだろう。
この分岐を過ぎると白根山の溶岩ドームの急な登りとなる。
活火山だけに、すぐに森林限界を越え見晴が良くなる。北に尾瀬の燧ヶ岳、その右手奥にたっぷりと雪を頂いている会津駒ヶ岳から中門岳、大杉岳の長い稜線が見える。それよりも北の山は霞で見られなかった。
山頂は小さな噴火を繰り返した跡がよく分かる。円形の火口跡が幾つもあって、その間に火口壁の残りが高さ10mくらいの岩の壁となって聳えている。手足を使わないと上り下りの出来ない岩壁なので、気後れしたらしい初心者が幾名も立ち止まってしまっていた。
三角点のある岩の山頂は狭いスペースで数名が立つと一杯だが、その周囲の火口跡や岩壁の上は広い面積があるので、100名を越える登山者が、グループごとに思い思いの場所で休んでいた。
ただし、岩壁が視界を遮るので、山頂からの眺望はそれほど良くない。360度の大展望とは行かない。
北の燧ヶ岳や会津駒ヶ岳が見られる岩壁の上で休みたかったのだが、ここは人気が高いらしく混雑をしていたので、男体山や中禅寺湖が見られる、南面した岩壁の上で休みを取った。
昨年登った時は山頂こそ晴れていたが高度2000m付近に厚い雲があって、美しい雲海に浮かぶ男体山が見られたが、中禅寺湖との組み合わせは見られなかった。
白根山の方角から見る男体山、太郎山、大真名子山、小真名子山、女峰山の姿は、九州の九重連山や霧島連山に似ている。最もこの5座は、いずれも2000mを超えている山なので、九重や霧島の山よりも一回り大きい。
似ているのは、大地から激しい噴火を繰り返して山塊がにょきにょきと生えているからだろう。関東平野から見る日光連山は一列に並んだ端正な姿をしているので火山という印象は薄いのだが、日光連山の最高峰から見下ろしてみると、いかにも火山らしい姿に見える。
白根山から五色沼避難小屋へ下って行くと、こちら側の斜面のダケカンバはまだ葉を開いていなかった。日光連山の山王峠下にある涸沼でも同様の現象が見られるのだが、窪地の五色沼が冷塊の役割となっていて、窪地の斜面の気温を、付近の平均気温よりもいくらか下げているらしい。
この辺りのダケカンバは高さがあり立派な木だが、その間に旗形に変形したシラビソの木が見られるのは不思議だった。旗形に変形するのには、強い風に当たり続けなければならないのだが、ダケカンバの林の中では風は吹かない。
登りでは殆ど花は見られなかったが、前白根山の稜線では残雪が融けたばかりの鞍部ではショウジョウバカマが見られ、稜線の上ではコイワカガミやコメバツガザクラの花が見られた。
花の季節にはまだ2週間ほど早かった様だ。
この辺りは面白い植生をしていた。ダケカンバが主体なのだが、場所によってシラビソが混じっていたり、稜線の上ではカラマツが丈を伸ばすこと無く生えていたりしている。下って行くと、シラビソが主体の森となり、アスナロが混じってくる。
天狗平まで尾根の上を歩いてから、いよいよ崩れかけた様な坂道を湯本に下る。
この下り道はロープやハシゴが全くないのが不思議なくらいだ。下るにつれて、濃いピンク色のアズマシャクナゲの花が沢山見られる様になった。標高1700mくらいから下は初夏の季節らしい。
天気は一日持ってくれて、夕立は無かった。