雲取山(標高2017m)は東京都の最高峰で、日本百名山の一座です。手軽に2000m級の山に登れるので、平日でも登山者が多く登っています。登山口も複数あり、周囲の山と登山道がつながっているので、様々なバリエーションを楽しめる山です。
多く利用されている登山道の一つは鴨沢口からの道です。電車とバスを利用する登山者も多くいますが、登山道から林道を少し入った所に駐車場(標高733m付近)が設けられているので、ここから入山する方も多いようです。鴨沢からしばらくは急な坂道です。その後は杉と檜の林の中のダラダラ道です。堂所山から七ツ石山までが、また急坂道となります。
七ツ石山から雲取山の稜線は、石尾根方面から歩いて来た登山者や日原から登って来た登山者も合流して、かなり混雑をしていました。この合流点から小雲取山(標高1973m)を越えて雲取山避難小屋に至ります。避難小屋から少し北に雲取山の山頂があります。埼玉県との境ですが、東京都の派手で大きな道標に比べると埼玉県のそれは小降りで慎ましやかです。
奥多摩駅から直接登山口に取り付く石尾根ルートがあります。奥多摩の駅から1時間ほど歩いたところに石尾根の登山口がありました。石尾根は幾つもピークが連なっていますが、殆どのピークには巻道が設けられていて、健脚なら日帰りで雲取山に登れます。稜線を歩くこのルートは渓谷を見る機会はありません。森林限界を超えることはないので、美しい樹林を堪能できます。登り始めてしばらくすると200から300坪の石垣で囲われた平坦な土地を通ります。ワサビ田にしては渓流の流れがなく、人が住んでいたにしては山奥過ぎます。
石尾根の上に出ると、樹林に覆われていますが日差しが差し込んでいて明るい雰囲気の道となります。だだっ広い尾根で、狭く薄暗い尾根道を歩いていたので、気分まで明るくなります。左斜面(南側)は杉の植林、右斜面(北側)は緑の葉がまぶしい落葉広葉樹の自然林です。
石尾根の道から少し離れたところに六ツ石山(標高1478m)があります。分岐からすぐに山頂に立てます(約10分)。眺望は得られませんが、広く禿げた石の頂です。六ツ石山から2時間ほど歩くと鷹ノ巣山(標高1737m)の頂きに登ります。六ツ石山から鷹ノ巣山までは勾配のすくないなだらかな稜線の上を歩きます。たぶん防火線でしょう、樹木が刈り払われていて開けた稜線です。眺望はありませんが視界が広いので樹木がよく見えます。坂がきつくなってきて、坂を上り終えるとそこが鷹ノ巣山です。頂は樹木が少なく視界が開けています。東京の山からの景観とは思えないほど見渡す限り山ばかりです。正面に富士山が見られます。鷹ノ巣山を下ると鷹ノ巣山避難小屋がありますが、2022年現在は使用中止となっています。
鷹ノ巣山を下り避難小屋を過ぎると分岐となります。左が巻道で、右が日影名栗山と丸山の頂を越える道です。巻道ははっきりしていますが、頂へ登る道は踏み跡程度です。丸山から防火線の上の道を下っていると正面に七ツ石山が見えます。鞍部に下ると七ツ石小屋と鴨沢への分岐があります。鞍部から一登りで七ツ石山(標高1757m)です。頂は狭いですが樹木が無く眺望が得られます。七ツ石山を下るとダラダラとした稜線歩きとなります。防火線となっている区間が多く、樹木が刈り払われているので、そこそこの眺望が得られるのですがどうも中途半端な景観です。
奥多摩小屋跡を過ぎるとすぐにきつい登りとなります。大変に眺望の優れた稜線です。上り詰めて行くと雲取山避難小屋に至ります。無人無料の山小屋です。平日でも満室になることもしばしばある人気の山小屋です。山小屋から北に少し歩くと雲取山の山頂となります。夕方に着いたのなら、夕霞でオレンジ色に染まった富士山が浮かび上がった様に見えます。
日原林道から雲取山にアプローチ出来る富田新道があります。雲取山までの所要時間が短いので人気の登山道です。入山すると針葉樹の森を下り、沢を渡ってから登りとなります。沢渡りは吊り橋があります。沢を渡ると尾根に取り付く登り坂となります。急峻な斜面ですが、ジグザグに切られているので、道はそれほどの勾配はありません。尾根に取り付く手前から、樹林は広葉樹に変わり、日差しが差してきます。尾根の道は勾配が緩やかです。落葉樹の森の中の道を歩きます。森林が広葉樹からカラマツの植栽林に変わってしばらく歩くと、急に視界が開けます。そこが小雲取山の稜線でした。小雲取山から雲取山までは稜線歩きです。樹木が少なく、笹に覆われているので、景観を見ながら歩きます。山頂の手前で一登りがあって、山頂の避難小屋にたどり着きます。避難小屋から少し歩くと雲取山の山頂に至ります。
長沢背稜という雲取山の登山道の中では比較的距離の長いルートを歩いての下山です。このルートは距離が長く道も踏み跡程度の箇所しかありませんので、登りには適していません。
雲取山の東の方角の眺望は、山頂は樹林で見られませんが、避難小屋からはよく見えます。雲取山の稜線(石尾根)の南側と北側は、植生ががらりと変わるのが興味深いです。山頂を北に下って雲取山荘に降りるあいだの登山道も、周りの樹木はシラビソが目立ちます。山荘を過ぎるとシラビソにコメツガが混じってみられます。場所によってはコメツガばかりとなります。コメツガは一般には標高1600m以上に育つ樹木ですが、南側に見られず北側に見られるのは、雲取山の山域の気象が関係しているのでしょう。
芋ノ木ドッケの分岐を過ぎると、ここまでははっきりとしていた道が踏み跡程度となります。長沢背稜の自然林は人の手が入った気配は殆ど見られません。長沢山(1738m)から酉谷山(とりだにやま)(標高1718m)までそれほどの高低差のあるピークとコルは無く長い坂道のありませんが、一高一下を繰り返します。酉谷山は長沢山と同様に樹木の頂なので眺望はありません。山頂の直ぐ下に酉谷山避難小屋があるので、そちらで休憩を取るのが無難でしょう。
天目山(三ツドッケ)(標高1576m)の巻道を通らずに山頂に立ちますが眺望は得られません。天目山は長沢山に比べると200mほど低く、針葉樹が減って広葉樹が多く見られます。東側の登山道の傾斜はきつく強烈です。
天目山を東に進むと蕎麦粒山(標高1472m)に至ります。この山から南の日向沢ノ峰(ひなたさわのうら)(標高1356m)分岐から東に折れます。日向沢ノ峰のすぐ北の分岐から、標高958mの長尾ノ丸山の手前の鞍部(912m)まで僅か1、2kmのあいだに高低差400m以上があるので、垂直に感じる様な坂を下ります。道がジグザグに切ってあればまだしも、急斜面に直線的に道がつけられています。長尾ノ丸、槇ノ尾山(標高945m)と越えて棒ノ嶺に到ります。棒ノ嶺の頂には東屋があります。この山頂から御嶽駅までの道はハイキングコースとなっていて歩きやすいです。
丹波山からサヲラ峠を越えて三条の湯を経て雲取山に至るコースです。丹波山村から雲取山まで約9時間半から10時間程かかります。丹波山は小さな市街で、見回った限りではコンビニがありません。丹波山市街を東西に抜けている国道の北に林道があります。この林道を上ってゆくと、途中に登山口があります。畑と植栽林の間を抜ける登山道で、草が刈られていないのでとても歩きにくいです。
丹波山からサヲラ峠(サオラ峠、竿裏峠)まではジグザグに斜面を登ってゆく急坂で、とても辛い道です。杉と檜の植栽林と、広葉樹の自然林がまだらにある樹林のかなを歩きます。サヲラ峠を越える道は、人の通りの少ない道のようです。道ははっきりとついているので迷う心配はないですが、人が多数歩いて踏み固められた道という印象はありません。峠にはベンチも無く、利用者の少ないことが分かります。峠の十字路を三条の湯に下って行きます。
三条の湯から三条ダルミまで、地図で読むよりも長い道で、傾斜も厳しいものでした。以外なのは木製の桟道が多くあったことです。陽の当たらない秩父山脈に設けられた桟道は、蘚苔類が生えていることが多く、雨が降ると大変に滑りやすく、危険なのです。三条の湯と言えば雲取山の有力な登山口なのですが、桟道の他、危険は無い程度の岩場も多くあって、本格的な登山道の雰囲気があります。三条ダルミから雲取山の登りにかかります。三条ダルミから山頂までの所要時間は50分から1時間ほどです。
三峰山からの登山道です。登山口となる三峯神社には大きな駐車場がありますが、早着しないと車は止められないかもしれません。三峯神社から霧藻ヶ峰まではハイカー向けの良く整備されている道です。霧藻ヶ峰の山頂には東屋があります。霧藻ヶ峰を越えて前白岩山に向かいます。白岩山の前後は岩場と上り下りの激しい道です。白岩山から芋ノ木ドッケの出合を西に取り上り詰めて行くと雲取山荘、次いで雲取山の頂となります。
甲武信ヶ岳や笠取山から秩父山脈縦走路を通って雲取山へ至るルートです。笠取山(標高1953m)からの所要時間は10時間から11時間ほどです。ここでは将監峠からの登山道を紹介します。
将監峠から飛龍山の登り口まではわずかな高低差しかありません。樹木の中を歩いているので眺望も楽しめないので、眺めたり写真を撮ったりすることもなく、行程がはかどります。飛龍山の下の分岐から山頂に登ります。山頂から下ってきたときはそれほどの長さを感じなかった道ですが、登って見ると踏み跡程度のところが多くあり、勾配も急です。
飛龍山から東側に降りる道はなかなか悪い道です。山頂から東に延びる稜線を数十メートル歩いてから、南東に派生する稜線に道を変えます。この稜線の三股の箇所にマーキングなど目印がないので、初めて通る人は道を間違えて直線してしまうかもしれません。北天のタルまで下り、ここから三条ダルミまで勾配の少ない道を歩きます。三条ダルミから雲取山までわずかですが急な坂を登り、雲取山山頂へと至ります。
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