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丹沢山地(山頂)

太平洋プレートが日本列島に衝突して隆起したのが伊豆半島と丹沢山地です。とても大きな山塊でしかも山深くあります。大山、塔ノ岳、蛭ヶ岳、檜洞丸のある東丹沢は、登る登山者やハイカーが多く明るい雰囲気があります。犬越路峠を境とした西丹沢は週末でも歩く人は希でしっとりとした雰囲気のある山です。日本百名山の一座です。

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2008/11/21、入山したのは札掛側の、名のない登山口です。国土地理院の1/25000の地図には掲載されていたので、入口に間違いないだろうと判断をして入山しました。登山路は落ち葉で隠されていてほとんど分かりません。おおよその見当を付けて歩いています。頼りは木の枝に巻き付けられている目印と、時折り現れる標識だけでした。やがて稜線に出ます。
樹林に覆われた尾根道を上ります。左手が杉か桧の植栽林、右手が落葉広葉樹の自然林という尾根です。当然ですが、落葉広葉樹は葉が落ちて日が差してくれるのですが、針葉樹の植栽林は葉が冬でも落ちず、また木と木の間隔が密で、とても薄暗いです。踏み跡程度のが新大日にたどり着くとここから、はっきりとしてきます。
新大日(標高1340m)は、丹沢山地の南端といったピークでしょうか。南には市街地が広がっています。ピークから北はさらに標高の高い稜線が連なっています。小屋が一軒建っていましたが、オフシーズンなので閉じていました。眺望はそれほどではありません。
新大日から塔ノ岳(標高1491m)まで、岩稜の上の道です。樹木が疎らに生えていますが、視界を遮ると言うほどではありません。この辺りから登山者をちらほら見かける様になりました。景観は塔ノ岳からの眺望が一番です。運が良く富士に雲がかかっていなければ、最高の景色を楽しめます。塔ノ岳の山頂は、木の板で階段状の構造に作られています。
塔ノ岳を過ぎると次のピークが丹沢山です。
笹に覆われた緩やかな稜線を歩いて行きます。樹木はまばらに生えていますが、殆どの木が葉を落としていました。丹沢山の手前で鞍部にぐっと下って登り返します。視界のよい稜線歩きなので、左手に常に富士山が見えます。贅沢な景観の登山道なのです。塔ノ岳には人が多く山頂も立派でしたが、丹沢山には人は数名しかいず頂を示す標識も小さなものでした。

丹沢山地には縦走路があります。
山伏峠から入山をして畦ヶ丸-加入道山-大室山-犬越路-檜洞丸-蛭ヶ岳-丹沢山-塔ノ岳-大倉に至るルートです。
11月上旬(2012/11/8)と言うものの丹沢の山はまだ暖かく、登山道の脇にはリンドウやトリカブトの紫色の花を見ることが出来ます。紅葉も山頂付近は葉が落ちていますが、中腹から山裾にかけてはまだ色づいた葉が残っていて目を楽しませてくれます。道坂峠を越えて大棚ノ頭の稜線に出ます。大棚ノ頭から菰釣山(こもつるしやま)(標高1379m)までは、小さいが傾斜のきついピークを幾つか越えて行きます。あまり登山者の歩いていない道の様で、ベンチやテーブルがピークの幾つかに置かれていましたが、大半は朽ちかけています。
菰釣避難小屋はなだらかな斜面に建っていました。床面積の2/3が土間で、中央に大きなテーブルが置かれています。1/3が板の間で、就眠スペースのとなっています。建物の大きさの割に就眠スペースが小さいのは、この小屋が休憩小屋を兼ねているからでしょう。トイレは無いので、携帯トイレの持参が必要です。水は稜線から道志に15分ほど下ったところを流れる沢から汲み上げます。荒れの目立つ急勾配の道で、往復するのには少し体力が必要です。
菰釣避難小屋から菰釣山から畦ヶ丸までの稜線も小ピークが幾つもあって、登り下りをさせられます。一つ一つのピークの高低差はそれほど無いのですが、数が多いことと傾斜がきついことでそれなりに体力を使います。
モロクボ沢ノ頭に三叉路があって、ここから丹沢縦走路を離れて畦ヶ丸(あぜがまる)(標高1292m)まで往復します。モロクボ沢ノ頭から畦ヶ丸までは砂岩の崩れた様な傾斜の道があって、少し歩きにくくなっています。ロープが一筋垂れ下がっていて、登山者の補助をしています。畦ヶ丸の山頂の手前に避難小屋があり、室内には大きな薪ストーブが備え付けられていました。
畦ヶ丸の山頂からは眺望はありませんでしたが、丹沢縦走路に戻る途中の道の上から、紅に色づく谷筋や雪を頂く富士山が見られました。
モロクボ沢ノ頭の分岐から、また縦走路を東に進みます。よほどこの辺りは登山者が少ないのか、白石峠の手前のピークでは登山道がかき消える様に見えなくなってしまいました。ピークに登っている途中だったのでかまいませんが、下っているときに見失ったら戻って登り直さなければなりません。そうなると、やっかいです。加入道山(1418m)も山頂は特徴の無い山で、眺望もありません。避難小屋は、規格品の様に、菰釣避難小屋と同じ作りをしていました。畦ヶ丸から加入道山、大室山(標高1587m)と徐々に標高を上げて行きます。大室山の西斜面は所々が笹藪となっていて、樹木の生育を阻害しています。そのおかげで、まばらな樹林をすかして周囲の景観が望めます。
ただし、山頂の眺望はありません。
大室山から犬越路までは一途の下り道です。下り道もこれだけ傾斜がきついと足が痛くなってきます。幸いに下りでしたが、出来ればこの道は上りたくないものです。それにしても、この先の1600mを越える檜洞丸、蛭ヶ岳を登るのに、こんなに高度を下げてしまうのはもったいない気がします。犬越路の下り道は樹木で覆われていて、眺望はわずかしかありません。特に正面方向はよく見えないので、犬越路はまだ先だろうかと考えていたら、ひょっこりと犬越路避難小屋の屋根が木立をすかして見えました。犬越路は甲州と相州の双方からの登山道が延びてきて交差している場所です。犬越路の名称の由来は、武田信玄が相州打ち込みの時に、この峠を越すのに犬を先頭に歩かせた事に因むとも、元々は大犬越路と呼ばれていたのが「大」の文字が取れて犬越路と呼ばれる様になったとも言われています(大犬は山の神、つまりオオカミのこと)。犬越路は大室山と檜洞丸のあいだの鞍部の峠ですが、甲州へ下る道も、相州へ下る道も、笹で覆われていて歩きにくそうに見えました。人気の高い登山道では、年に1度は笹の刈り払いを行うのですが、この辺りの山の登山道は毎年刈り払われている気配はありませんでした。犬越路の峠はすこぶる眺望のよいところで、特に東の檜洞丸に連なる稜線が見事です。犬越路避難小屋も菰釣避難小屋と殆ど同じ作りをしています。土間があり、土間に真ん中にはテーブルとイスが置かれていて、1/3が板の間で就眠スペースとなっています。ほかの小屋との違いは、他の小屋には毛布と布団が置かれているのですが、この小屋には何も無いことくらいでしょう。トイレは小屋の外にあります。
早朝、犬越路から登って行くと、西に朝日に染まる富士山が見えます。
檜洞丸の登りは西側の眺望のよい道で、時々振り返っては富士山や西丹沢の山並みを楽しめます。犬越路から檜洞丸にかけての登山道は高低差があり、岩場が連続します。クサリが設けられているので危険はありませんが、岩の表面の凹凸が少なく、手がかり足がかりになりにくい道です。この岩場は、雨が降ってぬれていたり、霜が降りていたりすると、滑りやすくなるのでやっかいかもしれません。犬越路から見上げた檜洞丸(標高1601m)は高くて立派な山でしたが、登り道は岩が多く急峻な区間もあって登ったという充実感が味わえます。山頂は疎林で眺望が得られます。山頂を少し丹沢山の方に下ると青ヶ岳山荘があります。屋根も壁も青色のトタンで葺かれた建物です。8時過ぎに着いたのでもう泊まり客はいないのでしょう、深閑としていました。
檜洞丸から蛭ヶ岳(標高1673m)までの道もヤセ尾根で、クサリ場や階段が数カ所あります。崩落した尾根道に土を盛って、突き固めた道もあります。危険と言うほどの箇所はありませんが、緊張感を持って歩かないと事故に合いそうです。中間点にあるピークの臼ヶ岳に登ると、蛭ヶ岳がよく見えます。高さがやや物足りないですが、根張りのどっしりとした立派な山です。山全体が木で覆われているのですが、殆どが落葉樹の様で、枯れ木の茶色い色が山肌の色でした。シミの様に赤や黄の樹木が残っています。蛭ヶ岳の登りは笹で覆われた斜面で、広い視界があります。東に向かって登っているので当然なのですが、西側に眺望があります。風景の最奥には南アルプスの連嶺も見られるのですが、冠雪の富士山があるので目立ちません。
長い蛭ヶ岳の登り道を詰めると山頂でしたが、人の多さに登るのがためらわれるほどでした。頂は広やかで十分なスペースがあり、眺望はすこぶるよく360度のパノラマが楽しめるとあって、登山者やハイカーの格好の目標となっているようです。檜洞丸まで足を伸ばす登山者は少ないようで、大抵は蛭ヶ岳が目的の様です。
蛭ヶ岳から丹沢山までは笹で覆われた尾根道で眺望が良く、高低差もあって歩きごたえもある道です。稜線の東側と西側の平野部は市街地となっていて、山深い西丹沢から歩いて出てくると、山が市街に隣接していることに驚かされます。登山者の多いのは丹沢山あたりが最後です。丹沢山の南にある塔ノ岳はハイカーの世界で、登山の格好をした人は希にしかいません。
塔ノ岳は広い山頂の山ですが、人に覆われていていました。塔ノ岳から大倉までの下り道は、ハイカー向けの楽な道と思っていたら、傾斜が厳しく岩が露出していて、以外にきつい道でした。多くのハイカーが下るのを見て、ハイキングの装備で良く下れるものだと感心をしてしまいます。大倉のバス停では多くのハイカーがバスを待っていました。乗客が多い山らしく、1台のバスが出発すると、すぐに2台目のバスが入ってきて、積み残した乗客を乗せて走り出しました。

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エリア » 丹沢山地

  1. 犬越路避難小屋

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Yuichi Mizunuma H.N.う

Yuichi Mizunuma (H.N.zen)
当サイトの執筆・撮影とシステムの製作等全てを行っています。
2007-2013にかけて、北海道利尻礼文から九州屋久島まで日本の主要な登山道を歩いてきました。日本百名山は2013年9月に全山登頂を達成。

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2013年まで、春夏秋冬、北海道から九州沖縄まで、ツーリング・登山・サイクリング・パドリング(カヤック)をしています。年間のテント泊数は40泊から60泊程度、日帰りを含めると年間80日くらいはアウトドアにいました。

現在は八王子市に居住中、今後は八王子市から離れることはありません。

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