第3日目 空木岳-宝剣岳-木曽駒ヶ岳

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行程

地名到達時刻所要時間
空木平04時41分
空木岳05時45分64分1時間4分
木曽殿越07時00分75分1時間15分
檜尾岳10時37分217分3時間37分
極楽平分岐13時17分160分2時間40分
宝剣岳14時09分52分52分
頂上山荘14時47分38分38分
木曽駒ヶ岳15時00分13分13分
頂上山荘15時14分14分14分
一日の歩行時間
10時間33分
日付:2012/08/27

山行記

空木岳

朝日は甲斐駒ヶ岳のやや左、秩父山脈のシルエットから登って来ました。昨日に続いての晴天です。眼下には伊那谷を埋め尽くしている厚い雲海が見えます。数時間後には、この雲海が盆地を離れて木曽山脈に登ってくるのです。

昨日に続いての、早朝の空木岳です。昨日は山頂には足をとどめず、写真を撮影しただけでさっさと南駒ヶ岳に向かったのですが、今日はカメラのレンズを変えて撮影をしたりして、たっぷりと時間をかけて空木岳の山頂からの眺望を満喫しました。

昨日は北アや南ア、八ヶ岳などこれまでに登って来たなじみのある山に目が行っていましたが、今日は昨日歩いて来た南駒ヶ岳やその先の岩稜に目が行きます。

木曽殿越

空木岳から北に向かうと木曽殿越の鞍部があります。
乗越という言葉が似合う鞍部です。

木曽殿越への下りは岩場の連続で、クサリ場が数カ所あります。岩登り岩下りに慣れていればクサリはむしろ邪魔になるような楽な岩場ですが、岩場になれていない登山者にはしんどい区間です。
左右が切り立った崖なので、高度感があり、登山者の恐怖心を引き起こすのに十分な岩場が続きます。

おそらく、木曽殿山荘に泊まった登山者が、3人5人とグループを作って登って来ます。木曽殿山荘は比較的小さな小屋と思っていたので、数十名の登山者とすれ違って、思っていたよりも大きな小屋なのではと思い返したりしていました。

木曽殿越は人工的に切り明けた様な急斜面に挟まれた鞍部です。
西がわの谷を覗いてみると、奥二又沢の沢筋から木曽殿越まで急斜面であるものの、いやらしさがなく、ジグザグを切ればすんなりと登ってくることが出来そうです。
東がわの谷も覗いてみると、大田切沢の沢筋からの斜面も木曽殿越までは、登るのに難しい箇所はなさそうです。

木曽谷と伊那谷の交通は、往古、北の権兵衛峠と南の大平峠が主で、その間での人の往来は難しかっただろうと言われていますが、木曽殿越なら越えようとすれば越えられそうです。
ただ、沢筋の道は難路で、人が繁く往来できるという道でもなさそうです。

木曽殿山荘は総二階のプレハブ建てです。乗越のわずかに平らなスペースを十二分に活用して収容人数を確保した建物のようです。
水場まで8分とかかれていました。

檜尾岳

木曽殿越の先が東川岳の急登です。神社の参道の階段を上るような斜面で、2671mまで登ります。
東川岳から熊沢岳まではハイマツに覆われた岩稜の上を歩きます。一高一下しながらの道ですが、悪い箇所はありません。
眺望がすばらしい尾根道で、左手に御岳から乗鞍岳、北アルプスの山並みを見て、右手には八ヶ岳、南アルプスの山並みを見て歩きます。

熊沢岳の山頂には大きな岩があって、遠くからの目印になります。

このピークを過ぎると岩場歩きとなります。岩場を手足を使って登っては下りながら進みます。岩と岩の間はハイマツですが、あまり整備はされていないようで、所々はハイマツの枝をかき分けないと先に進めません。

檜尾岳の山頂に達した頃には雲が湧いてきていたので眺望はほとんど得られませんでしたが、南の空木岳から熊沢岳にかけての稜線が、時折雲から姿を出していました。

檜尾岳の東に伸びる稜線の上に、避難小屋が建っています。円形の赤い屋根のかわいい建物で、稜線の突起の上にあります。摺鉢窪の避難小屋も雰囲気の良いところに建っていましたが、この小屋も小屋と周囲の風景が良く合っています。

宝剣岳

檜尾岳のすぐ北に中央アルプスの縦走路の最低鞍部があります。
と言っても、空木岳から木曽殿越まで降る道よりはずっと楽です。
こちらの鞍部の谷は、西も東もちょっと人が通って鞍部を越えるのは難しそうでした。

最低鞍部を過ぎると島田娘までは登り坂です。
登っている間、綺麗な円錐形の姿をした島田娘が、つらい上り坂を慰めてくれるのですが、登ってしまうと、小さなピークがいくつもあって、どれが島田娘なのかが分からなくなります。島田娘も、登ってしまうと稜線上の一突起の様です。

島田娘の登りは岩礫で、高山植物が多いようです。
残念ながらほとんどの花は開花の時期を終えていて、わずかにトウヤクリンドウが咲いているだけでした。
葉を見ていると、チョウノスケソウやチングルマ、ハハコグサ、イワツメクサ、タカネツメクサなどが7月から8月中旬にかけて咲いていたのが分かります。

島田娘から先はハイカーの世界となります。
登山道の左右には、不用意にハイカーが歩き回らないようにロープが張られています。
千畳敷から登ってくるロープウェーのハイカーがほとんどで、背負っているリュックサックも水筒と軽食を入れたらいっぱいになってしまうような小型のものがほとんどです。

千畳敷から登ってくる道の出合の極楽平の先にある三ノ沢岳の分岐から宝剣岳の岩場が始まるのですが、地図で見た限りでは岩場の連続で相当の難路と察しが付いていました。
重い縦走の装備を背負って歩き抜くことが出来るか多少迷っていたのですが、明らかに初心者とわかるグループや、ハイカーが勇敢にも入って行くのを見て、大した岩場でないことが分かりました。

分岐から見ていると、先行したグループの一人は、ストックを畳まずに岩場を登っています。ハイカーの女性は岩場の上で恐怖心からか、固まって動けなくなっていました。

登山渋滞に巻き込まれてもつまらないので、これらのグループが通り過ぎた後に宝剣岳に向かいました。
分岐から宝剣岳までの岩場は、ほぼ全区間にクサリが設けられていますが、実際にクサリを使って登った箇所は一カ所だけでした。たちの悪い岩場もあるのですが、そうしたところには足場が岩に打ち付けられています。岩場に慣れている人なら、クサリは使わなくても済むでしょう。
わたしは、ちょうど手がかりになる岩の突起にクサリがかかっていて、クサリを使わないとかえって危険なので一カ所だけクサリを使って登りました。

宝剣岳の山頂は、先行したグループが写真の撮影会をしていて、ちょっと寄りつけません。木曽駒から登って来たらしい登山者が写真撮影の順番待ちをしていました。

山頂下に、岩の欠け方の悪いところがあって、このクサリだけは使わないと安全にはわたれません。岩が谷に向かって傾斜してかけているので、うかつに体重をかけると滑る可能性があるからです。
ここを過ぎるとクサリがあっても使わない方がむしろ楽で安全に降りられました。

宝剣岳の岩の道は通る人が多く、しかもそのほとんどが岩場歩きに不慣れな人なので、ほぼ全区間にクサリが設けられているのでしょう。

木曽駒ヶ岳

ハイカーの世界は宝剣山荘の前まででした。
中岳を越えると、登山者の方が多くなります。
山頂小屋の前にはすでに多くのテントが張られていました。

午後3時と時間が早いので、テント場の受付は後にして、木曽駒ヶ岳に登ります。雲がかかっていて眺望は得られません。

山頂小屋の分岐から頂上まではわずかで、荷物を背負っていなかったこともあって、あっけなくたどり着きました。
山頂に立っても何も見るものが無いので、早々に退散します。

頂上山荘のテント場にテントを張って、たたずんでいると、一時的に雲が晴れてくれて、東野方角に伊那谷に市街地が一望でき、その背景には甲斐駒ヶ岳の三角錐の姿が浮かび上がりました。10分ほどの間です。

地図

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