第2日目 別山-三ノ峰-赤兎山-市ノ瀬

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行程

地名到達時刻所要時間
南竜ヶ馬場04時56分
御舎利山07時21分145分2時間25分
三ノ峰避難小屋09時01分100分1時間40分
上小池分岐10時36分95分1時間35分
杉峠11時40分64分1時間4分
杉峠(休憩)12時00分20分20分
赤兎山避難小屋15時06分186分3時間6分
赤兎山避難小屋(休憩)15時20分14分14分
市ノ瀬ビジターセンター18時44分204分3時間24分
一日の歩行時間
13時間48分
日付:2013/08/26

山行記

別山

日の出前に出発。東の空に朝焼けが見られる。
鱗状の雲の破片が紫色に染まっている。南竜山荘に急病人でも出たのか、ヘリからレンジャーらしい人が降りてきているの見えた。

天候は晴れ、青空が広がっている。
南竜ヶ馬場から尾根に登ると、尾根の先に御舎利山がある。別山は御舎利山に隠れてよく見えない。
御舎利山の登りまで、尾根は痩せていて、東がわは崖となっていて、ところどころは道が欠落していて巻いている。
危険と言うほどの箇所は無いが、景観が見事なので、見とれていると落ちるだろう。

東の地平線に目をやると、北アルプスの連嶺が見える。
右から御嶽山、乗鞍岳、穂高・槍連峰が並んでいる。その左は立山・剣岳の立山連峰が見える。

御舎利山に着くと、チブリ尾根の避難小屋泊まりをしたらしい登山者が一人登っていた。この日はあまり人のいない登山道を歩くので人には出会わないだろうと思っていたので、少し意外だった。
人のことは言えないが、ずいぶんと早い時間に発ったのだろう。

御舎利山と別山は双耳峰の様に二座が南北に並んでいる。チブリ尾根は御舎利山から派生しているので、登山道の分岐もこのピークにあるが、白山の主峰の一座は別山になっている。標高も別山の方がやや高い。

別山からは御舎利山越しに御前ヶ峰が見られる。
この点、御舎利山からは別山越しに南の三ノ峰が見られないのと対照的だ。主峰の一座だけに景観も別山が上回っている。昨日と言い、今日言い、景観の最も見事な区間で天候が晴れて居てくれるのは運が良い。昨年から今年の山旅では天候にたたられているので、ことのほか青空が嬉しく感じる。

三ノ峰

別山から南に派生している尾根の上のピークが三ノ峰、二ノ峰、一ノ峰となる。石徹白道、あるいは南縦走路と呼ばれる飛騨国からの登山道にあたる。
三ノ峰の標高は2128mしかないので、2399mある別山からは下り坂の道となる。

三ノ峰は尾根の上の小さなピークで凝れと言った特徴は無い。
振り返ると、尾根の上に大きく別山が乗っかっている。別山に隠れて御前ヶ峰は見えない。この辺り、良く出来ていると感じる。飛騨国からの参拝者は、ようやく三ノ峰にたどり着いても別山しか見られず、もう一踏ん張りして別山に登って御前ヶ峰に出会えるのだ。この配置は狡知とさえ言えるかもしれない。

三ノ峰を少し南下ると三ノ峰避難小屋があり、小屋の前に分岐がある。
水場は少し離れたところにある。煉瓦色のしゃれた小屋で、屋内も清掃されていて綺麗だ。トイレは2つある。

杉峠までの尾根道

三ノ峰分岐から杉峠までは、恐ろしいほどの勾配を持った坂道が続く。
歩き始めは尾根を巻いていたので気づかなかったのだが、尾根の上に出てみると、眼下、遙かに見下ろしたところに切り明けられた道が見えた。ざっと見積もって標高差は500mほどは急坂道を下ることが分かる。
杉峠の標高は1300mほどだから、実際には800mほど下らなくてはならない。

しかし、尾根の下り道は眺望がよく、つま先の痛くなるのさえ我慢すれば、下るにつれ谷や尾根が近づいて来て風景に変化があるので歩いていて結構楽しい。
3人グループとすれ違ったが、上小池からの入山者らしい。この尾根道を上るとは素晴らしい。わたしは下るのがやっとだ。

上小池分岐では、丁度工事が行われていて、指導標の立て替えや、階段の作り替えが行われていた。この辺りまでの道は、結構整備が行われているらしい。
登山道もしっかりと下草が刈り払われていた。

上小池分岐を過ぎると、下草の刈り払いがなされなくなったが、道ははっきりとしていた。歩きにくいということはない。山と高原の地図の白山では、上小池分岐から杉峠までは点線で表されていて悪路と言うことになっているが、古い情報が修正されずにそのまま印刷され続けているのだろう。

ちなみに、室堂ビジターセンターの白山登山道の地図には、三ノ峰から上小池に下る登山道までしか掲載されていない。上小池分岐から杉峠、赤兎山までの道は白紙で書かれていなかった。
以上の情報から、三ノ峰分岐、もしくは上小池分岐から赤兎山までは道があってない様なヤブコギの道を想像していたが、とりあえず杉峠までは通常の登山道を歩くことが出来た。

杉峠から赤兎山までの道

杉峠でたっぷりと休憩を取る。
ここから先がヤブコギと言うことが分かったので、おそらく赤兎山避難小屋まで休憩を取る余裕は無いと判断したからだ。そしてこれは正しかった。

杉峠から赤兎山避難小屋までは猛烈なヤブコギで、人の背丈を超えたチシマザサをかき分けなければ進めない箇所が随所に出てくる。
それでも、15分なり、30分なりヤブコギをしていると、ふっと空き地みたいな空間が現れるので一息がつけるのがありがたかった。

道を見てみると、石で作ったらしい階段の残骸があちこちで見られた。三ノ峰から上小池分岐、杉峠、赤兎山までの登山道は同じ石の階段が見られたので、ほぼ同時に作られたらしい。
三ノ峰から杉峠までは登山者がそれなりに歩いているので、整備がされている様だが、杉峠から赤兎山まで歩く登山者は希なので、整備を放棄したらしい。

中間点付近で、3人グループとすれ違う。
正直に言うと、ホッとした。ひょっとしてこの道は、途中で廃道状態となっていて、先に進めなくなるのでは、と言う可能性も考えられたからだ。わたしの技量と体力なら道が廃道となっても先に進めなくは無いが、日没までの残り時間を考えると、廃道となっていた場合はこの日の内の下山は無理となる。
3人グループが現れてくれたおかげで、市ノ瀬側の登山口まで歩けることが分かった。3人は大学生の様だが、女子が一人いたのには驚いた。しかも先頭を切って歩いている。今の女子は男子よりも体力気力が旺盛らしい。

この道には数カ所、道迷いの危険性がある。
特に危ないのが、赤兎山と裏赤兎山の鞍部にあたる沢越の区間だ。道と沢が交差しているのだが、ピンクのテープやペンキなどのマーキングが皆無なので、慎重に地形を幹分けてから進まないと、道では無く沢に入り込んでしまう可能性がある。他にも、道が池ノ中に入って途切れていたり、急斜面の坂道だが土石流で道そのものが流されて閉まっていたりと、なかなかタフな道だ。

ようやく赤兎山避難小屋に着いたときにはホッとした。
この避難小屋は、三ノ峰避難小屋と全く同じ作りだった。規格品なのかもしれない。
位置からすれば、三ノ峰-赤兎山縦走の途中の登山者が利用する避難小屋と思えるのだが、縦走路が以上の様な状態ならば利用者は殆ど居ないだろう。
赤兎山から避難小屋までの道も荒れていた。ただし、小屋は外観も屋内も綺麗な状態が保たれている。

赤兎山と市ノ瀬までの道

避難小屋から赤兎山までの間に赤兎湿原と呼ばれる小さな湿地がある。花などは見られない貧弱な湿原だ。木道がつけられていた。

赤兎山の登り道は、下草が刈り払いされていなくて歩きにくい。道は、雨水が土を洗い流してしまっていて、溝が深く掘られていた。

夕方なのでやむを得ないが、雲が湧いてきていて山頂からの眺望は限定的だ。
荒島岳、経ヶ岳、法恩寺山だけが見られた。
山頂には分岐があって、鳩ヶ湯まで8kmと書かれていた。山と高原の地図白山では、この道は点線で書かれているが、しっかりと刈り払いされていて快適な道の様だ。

赤兎山から小原峠までは岩むき出しの下り坂で、12時間歩いた一日の最後に歩く道としては、かなりしんどい。峠は小さな広場となっている。
昔、小原峠を越えて越前国から白山に登ったものらしい。

登山道の終わりの頃に川上御前社の小さな社が建っていた。諸輪の終わりの頃に再建されたものらしい。社を過ぎると、沢を渡って作業林道にでる。丁度、工事中だったので、重機のエンジン音がやかましい。
この沢渡りの箇所には、マーキングも指導標も立っていない。先にすれ違った3人グループは、おそらくここを渡って入山したのだろうと思うのだが、良く徒渉箇所と徒渉後の登山道を見つけたものだ。工事関係者に聞いたのだろう。

しかし、作業林道に出てからが長かった。
歩いても歩いても舗装車道に出ない。林道の常として、虻が出てきてかみついてくる。これがまた疲れを倍加させる。
三ツ谷の三叉路にかかる頃、雨まで降り出してきた。

三ツ谷から市ノ瀬ビジターセンターまで1時間以上かかった様だ。
日はとうに暮れ、暗くなった県道を歩いてビジターセンターに着き、リュックサックを降ろす体力も残っていなかったので、そのままベンチに腰掛けるととたんに土砂降りの雨が降ってきた。僅かの時間差で雨に濡れずに済んだ。

二日間だが長く感じる山旅が終わった。

地図

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