四季折々「春」
渚滑川とサクルー川の合流点
四月、雪解けとともに春が訪れます。錦仙峡の雪が融け終えるのは四月下旬以降です。天塩岳の雪解け水があふれるくらいに流れてきます。
冬の間は真っ白な雪と固い氷に閉ざされて何ヶ月も水音が聞こえませんが、
裸の川岸と色のない氷瀑の寂しさに慣れて川音を忘れてしまった頃、
待ち望んだ春がやってきます。
人が春の兆しに気付くよりも早く瞬く間に氷はみんな溶けてしまい
チョコレート色の濁流が川面にある全ての冬の名残を押し流していきます。
どうかすると見るのが怖いほどの早い流れが大きな倒木を押し流してきて
河の真ん中の浅いところにひっかかります。
冬の間よく道を横切って河まで降りてきていたエゾシカは見られなくなり、
寂しい季節を慰めてくれた可愛らしいカラ達の群れもどこかへ消えてしまいます。
川音が聞こえ始めたら、恵の豊かな色とりどりの春はもうすぐそこなのです。
野生動物も人間も固唾をのんで春が来る様を見つめています。
その濁流の激しさに似つかわしくないほどに春は一進一退をしながら恥ずかしげにやってきて
五月に入るとようよう、道の両脇に小さな緑がみつけられるようになってきます。
更新日:2006-06-22
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