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谷川連峰(谷川岳・朝日岳・仙ノ倉山)(山頂)

上越国境に連なる2000m近い屏風の様な山並みです。日本百名山の一座です。東は利根川支流の湯桧曽川を馬蹄形に囲む様に白毛門、上州朝日岳があり、清水峠と蓬峠を挟んで茂倉岳、谷川岳があります。谷川岳からは西に稜線が延びていて、連峰最高峰で唯一の2000mを超える仙ノ倉山、西端となる平標山が連なっています。首都圏から日帰りで登る事の出来る山では、唯一、アルペン的な山容を持っている山脈です。

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谷川連峰には幾つもの登山道が設けられています。圧巻なのは土合駅から朝日岳、清水峠、茂倉岳、谷川岳を経て仙ノ倉山、三国峠、猿ヶ京温泉へと至る縦走路で、健脚なら二泊三日で走破できます。

主峰の谷川岳(標高1977m)の登山道の内、最も利用者の多いのは標高1502mまでロープウェーで登れる天神尾根でしょう。実は天神尾根の登山道は水上温泉から始まります。水上駅を降りて谷川温泉へ行き天神尾根登山口のあるホワイトバークレースキー場へと進みます。スキー場から100mほど登ると登山道の入り口があります。分岐には道標はないので見落とさない様に注意が必要です。入山してすぐ道が崩落している箇所がありますが、ハシゴがかけられているので安心して先に進めます。道の廻りは樹林帯で日はあまり差し込みません。夏なら日差しが遮られて良いでしょう。天神平まで四回徒渉します。大雨の後でなければ足元を濡らすことは無い程度の徒渉です。沢を離れると急勾配の道となります。10月中旬なら標高1100m付近が紅葉の時期を迎えていて、最盛期の標高は1200mです。天神平まで人一人見当たりません。
天神平からは人が混雑してきます。天神平の斜面はゲレンデとなっている禿山です。ロープウェーの他にリフトも運行をしていて観光客や登山者を運んでいます。天神尾根を歩いて来て、天神平にいたりようやく谷川岳が姿を現します。道は良く整備されていて、ところどころには木道も設けられています。登山と言うよりもハイキングといった気分の道です。道の左右は高山らしくダケカンバが茂っています。途中にある熊穴沢避難小屋は土間で出来ていて、わずかにベンチが設けられています。熊穴沢避難小屋を過ぎるとちょっとした岩場となり鎖が設けられています(標高1533m付近)。大半の登山者が初心者なので登山渋滞を起こします。岩場の距離は約100mです。岩場を過ぎると森林限界を越え気持ちの良い低木で覆われた稜線上の道に出ます。天候さえ良ければ眼前に谷川岳を見ながら歩くことが出来ます。
谷川岳トマの耳に登るには土留めの階段を通ります。かなり急勾配の道なので体力を消耗します。トマの耳直下に谷川岳肩ノ小屋があります(標高1909m)。ここからトマの耳までは僅かです。
山頂の一つのトマの耳は標高1963mです。すぐ隣にオキの耳が(標高1977m)があります。こちらが谷川岳の最高地点です。

谷川岳から茂倉岳(しげくらだけ)標高1978mまでの道はとても滑りやすい岩稜です。三点保持の姿勢を取るほどもないのですが、安全を重視するなら三点保持の姿勢を取りながら進むことをお勧めします。途中、一ノ倉岳(標高1974m)を通ります。一ノ倉岳の山頂には避難小屋が建てられていますが、2、3人入れば一杯になってしまうほど小さく避難小屋と言うよりもシェルターと言った方が適切でしょう。この頂には中芝新道との分岐があります。
一ノ倉岳から茂倉岳の稜線上の道は笹に覆われた道で天候が良ければ眺望が得られますが、悪天候で強風が吹きすさぶと谷に転落しそうな程です。茂倉岳の頂には道標が立っています。この頂には清水峠へ至る縦走路と、土樽駅へ降りる茂倉新道の分岐があります。茂倉新道を10分下ると茂倉岳避難小屋があります。綺麗な山小屋で清潔感があります。

茂倉新道は土樽駅から車道を歩いてアプローチします。登山口には広々とした駐車場がありますがあまり利用者はいないようです。道は落ち葉で覆われていて、雨の日などは滑りやすいです。中腹までは落葉広葉樹林が覆っています。眺望が開けると10月下旬には北側の斜面が色付いていて、南側の斜面はまだ紅葉は色付いていません。中腹よりも上では紅葉の盛りでした。落葉広葉樹の赤と黄色、それに混じって針葉樹の緑色の葉が見事なコントラストを描いています。
尾根道に登ると一面の雪景色です。高木は無く吹きさらしの稜線の道なので、強風が吹きすさぶと倒れそうになります。ただ天候が良ければ見晴は良いでしょう。標高1860m付近に茂倉岳避難小屋があります。立派な建物で、トイレは別棟となっています。トイレの悪臭に悩まされないですみますが、悪天候の時は風雨や雪に叩かれながらトイレまで歩くことになります。避難小屋から20分ほどで茂倉岳の山頂に至ります。山頂には谷川岳へ至る道と武能岳から蓬峠への道の分岐があります。

谷川岳に登る西黒尾根登山道の入口は土合駅から少し歩きます。登山口の駐車場からも少し離れています。登山口には道標が立っているので見落とさない様に注意が必要です。登山口からラクダの背まではきつい坂道が続きます。標高が低いため蘚苔類が岩を覆っていて雨の日などは滑りやすいです。標高1379m付近で稜線に出て視界が開けます。しかし急坂には変わりがありません。下の谷を見ると8月下旬と言うのに残雪が見られます。降雪量の多さが分かります。アザミの花が多く見られました。ラクダの背からは一気に山頂へと登ります。山頂までの間に巖剛新道との出合があります。このあたりにはトリカブトが花を咲かせていました。1600m付近は岩を巻く様に登ります。シモツケソウ、グンナイフウロウが満開です。
1812mにザンゲ岩があります。ラクダの背から目標に歩くとようやくついたという感じです。歩いてきた道を振り返ると、一筋の道が稜線上を伝っていることが見て取れます。1879m付近で天神尾根登山道と合流します。トマの耳、次いでオキの耳に至ります。日本海からの風と太平洋からの風がぶつかり合う谷川連峰は天候の良い日が少ないと言われています。運が良くても西側だけが晴れ、東側が曇りという日が良くあります。山頂は東側がそげ取った様な急峻な崖となっていて、西側がやや緩やかな稜線を引いています。

田尻尾根道はロープウェーの下を通る登山道です。位置的に利用者は少なく寂れた道です。入山はロープウェーの山麓駅にあります。淡々とした道が登山口から続きます。歩いていて退屈な道で、幅員は広いです。冬期、スキーシーズンに使われる道かもしれません。車道としてはかなり荒れていて4WDでも登るのはきつそうです。しばらくこの車道とも言えない道を歩いて行くと田尻尾根入口の道標が立っています。ここからは樹林に覆われたきつい坂道が続きます。西黒尾根などと比べると変化の乏しい道です。標高1433mm付近で天神尾根登山道と合流します。熊穴沢避難小屋の少し下、天神尾根から派生している登山道です。分岐点には道標が立っています。目立つので見落とす心配は無いでしょう。

朝日岳-清水峠-茂倉岳縦走路の登山口は土合駅のすぐ近くにある駐車場の奥にあります。登山口の標高は672mほどです。白毛門までは落葉広葉樹の林の中の岩場の多い道を上ります。標高1473m付近の松ノ木沢の頭まで登ると稜線となり森林限界を越え、眺望が開けてきます。稜線の道は正面に白毛門と朝日岳、左手に谷川岳が見えます。初秋の花のアザミですが、七月下旬にジョウシュウオニアザミの花が見られます。稜線をしばらく歩くと白毛門(標高1720m)に達します。眺望の良い山頂で武尊山が遠望でき、これから進む道の目標の笠ヶ岳と朝日岳も見られます。
白毛門からコル(標高1682m付近)に下り、再び笠ヶ岳へと登り返します。このコルは七月上旬にはニッコウキスゲ、アズマシャクナゲが満開となります。
笠ヶ岳を過ぎ朝日岳(標高1945m)に至ると、山頂下には残雪がありその融けた水が湿地を作っています。朝日岳からジャンクションピークに至る道は低木に囲まれていて、途中巻機山へ至る道との分岐点があります。ほぼ笹に覆われた道で巻機山へ行くには猛烈なヤブコギが必要のようです。朝日岳から清水峠までは一途の下り道です。峠には送電線監視小屋の赤い建物と、その隣に小さな白崩避難小屋が建っています。送電線監視小屋は大きく目立つ色なので遠目からでも目立ちます。清水峠にある白壁避難小屋(標高1461m付近)はトイレがありません。二階建てになっていて収容人数は10名くらいです。
清水峠から蓬岳までの所要時間は約1時間50分ほど。まずは七ツ小屋山へ笹で覆われた道を上ります。刈り払いはしていないのでヤブコギをします。笹が途切れると満開のニッコウキスゲの黄色い花が随所に見られます。七ツ小屋山は稜線上の一突起で標柱が立っていなければ気づかずに通り過ぎるでしょう。七ツ小屋山を越えると蓬峠に着きます(清水峠から蓬峠までの所要時間は約1時間40分)。標高は1565m付近です。蓬ヒュッテが建っていて、無料の水場があります。
蓬峠から武能岳を目指します(所要時間約1時間)。膝丈くらいの低い笹なので眺望は良いでしょう。天候に恵まれれば谷川連峰を一望しながら歩けそうです。武能岳(ぶのうだけ)(標高1759m)の頂は丈の短い笹で覆われていて天候が良ければ眺望が得られます。武能岳は姿の美しい山です。武能岳から下り茂倉岳とのコルから振り返って見るとその山容がよく見えます。コルにはウサギギクが咲いています。コルの登山道場に残雪が有り、天候が悪く視界不良の時は道を見失う可能性があります。コルから坂道を上り詰めて行くと茂倉岳の頂きに至ります(所要時間は約1時間40分)。茂倉岳の山頂は土樽駅へ下る茂倉新道と谷川岳に至る縦走路です。

谷川岳から仙ノ倉山-三国峠までの縦走路はあまり登山者の歩かない道の様です。七月下旬の谷川岳肩ノ小屋には沢山の登山者がいて、トイレ渋滞も起こしていたのですが、分岐路を万太郎山の方に取ると殆ど人に出会わなくなります。
中ゴー尾根の分岐から先は、岩場が点在しています。ところによってはクサリが垂れています。稜線は痩せています。樹木は無く、腰ほどの丈の灌木と笹ばかりが見られます。
オジカ沢ノ頭は滑りやすい岩場です。オジカ沢ノ頭避難小屋はトタンを円筒形に丸めた構造物で、中にスノコが三枚敷かれていました。三枚の内の左右の二枚は斜めに傾いていたので、安心して泊まれる人数は一名、無理をして三名と言ったところでしょうか。すこし先にある、大障子避難小屋はオジカ沢ノ頭避難小屋よりはずいぶんと良く、四名ほどが安心して寝泊まりできそうです。
万太郎山の山頂(標高1954m)からは南西にナイフの刃の様な鋭い尾根が見られます。この尾根には道は無く東俣ノ頭に連なる稜線でした。実に見事な稜線で歩きたくなります。東俣ノ頭のピークの手前で右に折れ、下ります。笹藪が道を追おう急坂道で雨の日などは滑りやすいです。道のそばにはタテヤマウツボグサが紫色の花を咲かせていました。
越路避難小屋は小さな小屋でブリキで出来ているようです。三名も泊まれば一杯になるほどの面積です。
越路避難小屋から毛渡乗越までは急な下り坂の道です。その上、下草の刈り払いを行っていないのでヤブコギをしなければなりません。雨天や雨天直後は大変に滑りやすい道です。毛渡乗越を越え仙ノ倉山までの道も下草は刈り払いされていません。道が下草に覆われてしまって見えなくなることもしばしばです。エビス大黒避難小屋は一人、せいぜい二人が泊まると一杯になる様な小さな小屋でしたが、建物そのものは安定していて、寝心地は良さそうです。
仙ノ倉山(標高2026m)は谷川連峰の中の最高峰で、唯一の2000mを超えるピークですが、平でなだらかな頂を持っていました。アルペン的なトマの耳、オキノ耳に比べると雰囲気ががらりと変わっています。山頂は開けていて天候が良ければ見事な眺望が得られるでしょう。アズマシャクナゲが頂きに咲いていました。
仙ノ倉山を越えると道に変化が出てきます。万太郎山から仙ノ倉山までのヤブコギの道とは違って勾配のある箇所には階段が設けられ、泥の箇所には木道が敷かれています。登山者だけで無く観光客を意識しての道の整備でしょう。平標山(たいらっぴょうやま)(標高1984m)も仙ノ倉山と同様に樹林の無い頂で360度の視界が得られる頂です。山頂下にある平標山の家には水場とトイレがあります。山頂からここまでは信じられないことに、全区間木製の階段が設けられていました。
平標山から三国峠までは小さなピークが多く上り下りを繰り返すので体力を消耗させられます。三国峠からは三国山に登ることが出来ます。登山道はほぼ全ての区間が階段となっていて、大勢の観光客で賑わっています。三国山は観光地ですが、三国峠はひっそりとしていてベンチすら有りませんでした。高名な峠ですが忘れ去られた様なところです。

三国峠から旧三国街道を通って猿ヶ京温泉に至る小径があります。草の茂った道で廃道かしらと思わせます。三国街道は大般若塚まで続きますがちょっとした登り坂の道です。大般若塚から分岐を猿ヶ京温泉へと取ります。分岐からしばらくは急な坂道でしたが、やがて遊歩道的な道に変わります。旧三国街道の小径よりは歩きやすいのですがヤマヒルが多くいて足元にスパッツなど着ける必要があります。猿ヶ京温泉側の登山口は草に覆われていて道と草地の判別が着かないほどです。こちら側からの入山は事実上不可能でしょう。猿ヶ京温泉スキー場跡から車道に出てしばらく歩くと温泉街にでます。一番近いバス停は“まんてん星の湯”の直下にある「見晴下バス停」でした。

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上州朝日岳山頂

上越線土合駅の北にある稜線の最高峰です。

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白毛門山頂

上越線土合駅から最初に登るピークが白毛門です。

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谷川岳山頂(トマノ耳・オキノ耳)

二つある谷川岳のピークです。「耳二つ」と呼ばれていました。

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天神尾根と天神山

谷川岳ロープウェーがあるので、最も登山者に利用される登山道が天神尾根です。この登山道は長く、水上駅から天神山を経て谷川岳まで至ります。

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Yuichi Mizunuma H.N.う

Yuichi Mizunuma (H.N.zen)
当サイトの執筆・撮影とシステムの製作等全てを行っています。
2007-2013にかけて、北海道利尻礼文から九州屋久島まで日本の主要な登山道を歩いてきました。日本百名山は2013年9月に全山登頂を達成。

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2013年まで、春夏秋冬、北海道から九州沖縄まで、ツーリング・登山・サイクリング・パドリング(カヤック)をしています。年間のテント泊数は40泊から60泊程度、日帰りを含めると年間80日くらいはアウトドアにいました。

現在は八王子市に居住中、今後は八王子市から離れることはありません。

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