地名 | 到達時刻 | 所要時間 | |
---|---|---|---|
黒部五郎小屋 | 05時29分 | ||
黒部五郎岳 | 08時15分 | 166分 | 2時間46分 |
北ノ俣岳 | 12時15分 | 240分 | 4時間 |
太郎平小屋 | 13時52分 | 97分 | 1時間37分 |
薬師峠 | 14時17分 | 25分 | 25分 |
一日の歩行時間 |
---|
8時間48分 |
日付:2011/09/27 |
昨年、黒部五郎岳に登ったルートは圏谷底の道でした。午後遅くに取りかかったので、途中で沢山の登山者とすれ違いましたが、山頂には誰もいなくて静かでした。ひどい霧で何も見えず、ただ圏谷底に散らばっている巨大な石と、圏谷壁の膨大な岩壁が強く印象に残っていました。
今回はあまり歩かれないと言う稜線の道をたどりました。黒部五郎岳が開かれた当初は圏谷底の道はなく、この稜線の道だけがありました。
歩かれなくなった理由は、歩いてみて分かります。岩場が多く、よじ登ったり下ったりの連続で岩場に慣れない人にはちょっとした恐怖があります。また、縦走で歩かれることの多い山なので、重いザックを背負ってこの岩場を歩くのは、ちょっと大変かも知れません。
その代わり、森林限界を越えた岩場の稜線なので、眺望は抜群です。
岩の小ピークを一つ越える度に黒部五郎岳が近づいてきて、山の姿が少しずつ変化して見飽きません。
左手には三俣蓮華岳や双六岳に奥に穂高岳の岩の峰が見えます。
右手には鷲羽岳から水晶岳、赤牛岳の連峰が見えます。
山頂は晴天で雲海の上に浮かんでいます。
西には遠く白山が見えます。南は乗鞍岳、その奥に御嶽。正面には薬師岳の山塊があり奥には立山、剣岳が並んでいます。見所は巨石が散乱している圏谷底です。
後から来たグループが八ヶ岳が見える、その向こうは北岳だ。と言ったので、ここからは穂高連峰の影になっていて八ヶ岳や南アルプスの諸峰は見えないはずだがと思うと、どうも御嶽を八ヶ岳と取り違えているようです。黒部五郎岳から見る御嶽は頂が複数有って八ヶ岳に似ています。八ヶ岳を見たことがないと間違えるのも無理はないと思えます。
黒部五郎岳の圏谷壁の肩から中俣乗越までの斜面は急峻です。下りで良かったと思えるシーンです。視界が広いので薬師岳を見ながら歩きます。
中俣乗越を過ぎると登りではあるものの、登っても心が弾まないピークが続きます。赤木岳や北ノ俣岳です。薬師岳に連なっている姿の遠景は悪くないのですが、登ってしまうと味けのない山です。東に広がる赤木沢とその源頭にあたるひろやかな野が唯一の見物でした。
薬師岳はよほど大きな山塊らしく、北ノ俣岳を越えると、すぐその頂に登れるくらいに近く感じます。実際にはここからだと半日はかかる距離があり、事実、歩けども歩けども山の形に大きな変化はありませんでした。
北ノ俣岳の前後から有峰湖が右手に見えてきます。ダム湖そのものはありきたりの風景なのですが、湖底に沈んだ有峰の集落が大正時代までありました。有峰は平家の落人の村だったと言われています。
太郎平に下ってゆくと、途中に針葉樹の疎林が有り、木の間に池塘が見えます。
なかなか良い景色なので近景を楽しみに歩いてゆくと、道は池塘のそばは通らない様で、面白味のない道となっていました。
この辺りの道は雨によって激しく浸食されています。浸食の原因は登山道が敷設されたからなのですが、浸食されるままになっているのは寂しい気がします。
太郎平で受付を済ませ、テント場のある薬師峠に行きます。
20分あまりの距離の所にあり、豊富な水が得られます。トイレもテント場専用のものとしては清潔で、バイオトイレです。