第3日目 薬師峠-薬師岳-スゴ乗越-五色平

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行程

地名到達時刻所要時間
薬師峠04時50分
薬師岳07時09分139分2時間19分
北薬師岳08時23分74分1時間14分
間山09時43分80分1時間20分
スゴ乗越小屋10時37分54分54分
越中沢岳13時48分191分3時間11分
鳶山15時34分106分1時間46分
五色平山荘16時03分29分29分
五色平テント場16時21分18分18分
一日の歩行時間
11時間31分
日付:2011/09/28

山行記

早朝の薬師平

スゴ乗越小屋が昨日終了となって閉鎖されたので、五色平まで歩かなければなりません。体力的には問題は無いのですが、日の短い9月下旬と言うことで、所要時間が問題となってきます。日没は5時過ぎで、残照で歩けるのが5時半頃までです。それを過ぎると懐中電灯で足下を照らしながら歩くことになるのですが、初めての道なので出来れば避けたいところです。
もう一つの問題が水場で、スゴ乗越小屋で水が継げないので、薬師峠の水場でこの日1日分の水を汲んでおかなければならないと覚悟をしていました。

幸い、昨日、五色平からスゴ乗越を越えて薬師峠まで歩いてきた登山者が居て、話を聞けました。所要時間が12時間ほどかかる事と、途中の間山の池で水が継げるという情報が助かりました。この人はお山の達者そうなので、12時間かかったと言うことはわたしの脚では12時間半から13時間を見れば良いだろうと予想を立てて、朝、まだ日の昇る前の午前4時過ぎから準備を始めて出立は4時50分でした。

薬師平の道

真っ暗の中、沢を詰めて登ってゆくと、5時20分から明るくなり始め、懐中電灯なしでも歩ける様になりました。5時30分に薬師平に出ます。
気温は0℃。テントをたたみ始めた時は水滴だったのですが、4時30分を廻ると急激に気温が下がるのが肌で分かりました。テントの水滴がみるみる凍って行くのは凄かったです。

岩場も木道も霜が降りていて、歩いていて滑り、転倒しない様に気をつけるのが大変です。
薬師平の登りで女性とすれ違ったのには驚きました。薬師岳山荘から下ってきたのですが、この時間にすれ違うと言うことは、この女性も日の出前から歩き始めたのに違いありません。
それも凄いのですが、前日にはスゴ乗越小屋はすでに閉鎖されているので、五色平から薬師岳山荘まで歩いてきたと言うことがわかるので、これは本当に凄いことです。

薬師岳

山頂直下の薬師岳山荘の宿泊客が朝食前の一登りで薬師岳に登ったのが降ってくるのとすれ違います。向こうは朝食前の腹ごなしなのでザックも持たない軽装ですが、こちらは京の内に五色平まで歩き通す覚悟を決めている縦走装備なので気持ちが違っています。

下から見上げると山頂に見えていたのが南東尾根の頭で、山頂で休めると思っていたので気持ちが少しくじけました。南東尾根の頭から黒部五郎岳など南の山岳風景が楽しめるのですが、薬師岳の山頂からはこの尾根が邪魔をして南はほとんど見えません。薬師岳の登山道は南西に面しているので朝日が当たらず、9月早朝に歩くと少し寒いです。

南東尾根の頭に登ると山頂まではだらだらした稜線歩きで歩くのが楽になります。
ちょっとした岩場の登り下りがありますが手は使わずに済みます。
この稜線の右手(東側)に圏谷が広がっています。圏谷壁の斜面や圏谷底がならした様に綺麗な圏谷です。黒部五郎岳の圏谷を見た後なので印象はとても薄いです。

山頂には10kg以上の大きな石がゴロゴロと積み重なっていて、その中心に祠と山頂の標柱があります。眺望は南東から北、南西に広がりますが南はありません。
正面には北薬師岳とそのしたには圏谷が見られます。その背景に立山、剣岳が見えます。
立山の右手(東側)に後立山連峰が見えるのですが、朝靄に煙っていて山の名前までは判別できませんでした。双耳峰の鹿島槍ヶ岳が見つかれば他の山の位置も特定できるのですが、薬師岳の方角から見た鹿島槍ヶ岳は南峰と北峰が重なり合う様で、見つかりません。

北薬師岳

薬師岳から北薬師岳は痩せた石だらけの尾根道です。
難所というわけではありませんが、手が届くくらいに近いのになかなかたどり着けません。

山頂から北を覗くと、深い黒部川の渓谷が見え、その西側の立山連峰があります。
また、これから歩くスゴ乗越の切れ込みや、スゴノ頭と越中沢岳の急峻な山容も見えます。
晴れていて眺望が得られるというのも善し悪しで、これからあの急斜面を降っては登るのかと思うと気持ちが萎えかけてしまいます。

間山とスゴ乗越

北薬師岳から稜線を一途に降ります。
降る途中にあるのが間山です。北から歩いてくると、間山は稜線の頭に見えるので山の文字が付けられているのでしょう。南から下ってゆく時は山にもピークにも見えません。

間山には池が二つあります。山頂の池が水場として利用されている様で、踏み跡があります。いただけないのはここで野営をした人が、暖をとるためか標柱を燃やしてしまったことです。燃えかすが残っていました。
こんなことでは間山の池も野営者の排泄物が混じっていそうですが、浄化器を使えば病気にはならないでしょう。浄化器が無いとちょっとここの水が飲む気が起きません。

間山から先は樹林帯となります。下ってゆくとスゴ乗越小屋があり、窓には板でふさがれています。ここに来るまでに数組のグループとすれ違ったのですが、その人達はここにテントを張って一夜を明かしたようです。水は五色平から背負ってきたのでしょうか。
この時期、立山連峰を歩いている登山者は、皆頭よりも高いザックを背負って歩いているので感心します。

スゴ乗越小屋の先の鞍部がスゴ乗越なのですが、スゴノ頭と越中沢岳の間の鞍部の方が乗越らしい地形でした。
スゴノ頭と越中沢岳の登りはきつく、先を急ぐ人間には堪えます。
この辺りにかかると雲が湧いてきて視界を奪います。楽しみは無くなりますが、先を急いでいるので、景観を見ることがなくなり時間は少し短縮できます。曇り天気が悪いとも言えないところです。

スゴノ頭はきつい斜面を登って、もうすぐ山頂という手前で左に道が折れて降ります。ここまで登らせたのだからピークを踏みたくなるのですが、道はなさそうなのであきらめました。

越中沢岳の登りが難所で、体力気力の見せ所です。
ここを登り切ってしまえば後は楽で、鳶山に少しの登りがありますが、一気に五色ヶ原まで歩けます。

五色ヶ原

五色ヶ原山荘の管理人は親切で話の好きな人です。テント場は使えるが閉鎖したとかで、水の代金共々無料でした。
五色ヶ原のテント場までは木道歩きで10分ほど。雲で隠されていましたが、広闊な野の原の様です。

地図

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